バー・ホッパーとは、ショットバーで1〜2杯飲んですぐに次の店に移る人たちのこと。バッタのように店を飛び跳ねて移動する様から、こう呼ばれている。1人のこともあるし、2人組のこともある。
お酒が好きと言うより、バーが好きという人たちで、その地域のバー事情に業界の人よりも通じていることが多い。もちろん、筆者もそのバッタの1人。
今宵はどこに飛び跳ねようか。
夕方になり、ふらふらと家を出たら、すぐにでも飲みたいもの。ということで1杯目は歩いて数分というところにある「Amami」に入った。カウンターだけの広くはないバーだが、シングルモルトが揃っていてうれしいところ。天井まで4段ある棚にびっしりと並んでいる。ちなみに、店名はご両親がやっていたお店の名前から取ったとのこと。オープンから9年目と年季が入っている。
とりあえず、いつも通りマンハッタンを注文。グラスを冷蔵庫に入れ、氷でミキシンググラスを冷やす。一般的なタイプと違って細長いのでは? と聞くと、なぜかこの店ではガラスのミキシンググラスが割れてしまうので違う素材の製品を探したとのこと。珍しいことがあるものだ。
続いて、ライ・ウィスキーの「OLD OVERHOLT」とチンザノを入れ、ビターズのダッシュは中央に。ステアはゆっくりめだ。そしてグラスにチェリーを入れてから、琥珀色の液体を注ぐ。今夜のカクテルの女王はライトな口当たりだ。
さらっと飲んでしまったので、もう1杯。ジンフィズを頼む。
ここのジンフィズは思いっきり独創的だ。まず、ジンを通常45mlのところ、60mlも入れる。ウィスキーならダブルに相当するアルコール量だ。そこへ、フレッシュなレモンを搾ったジュースとたっぷりの砂糖を入れ、シェイク。そして、おもむろにシェーカーのトップを開いて、ソーダを入れる。それから、グラスに勢いよく注ぐのだ。
最初は氷なしで。飲んでいる途中、タイミングを見計らって氷を追加してくれる。
これが、甘酸っぱくて、酒のコクもあって非常においしい。しかし、「これは強いのでは?」と聞くと、このジンフィズは2杯までしか出さず、3杯目の注文はお断りしているとのこと。さもありなん。
バーはお酒を飲むところ。当然、酔うのが目的の一つではあるが、酔いすぎるのはいただけない。特に、カウンターで寝てしまうのが困る。ショットバーでは、客も舞台装置の一部である。金を払う側だからと言って、その店にふさわしくない言動はいただけない。どんなに疲れているとはいえ、寝られてしまっては、その隣で女性を口説く雰囲気にはなりにくい。眠くなったら、即帰る。始発待ちなら、漫画喫茶やカプセルホテルに行けばいい。たとえ朝までやっているバーでも、それをやったら一発で嫌われるので注意したい。
【セカンダリーバー Amami】
東京都品川区大崎 4-1-2 ウィン第二五反田ビルD