バザールに並ぶメロンは、夏の到来を告げる風物詩 今年も、この季節がやって来た。
町中のいたるところで、山積みにされたメロンが売られ、辺りは甘い果汁のにおいで満ちている。街角では、人々が日差しから逃れるように木陰に集まり、メロン片手に世間話に花を咲かせている。
日本ではあまり知られていないが、ここウズベキスタンをはじめとする中央アジア地域は、メロンの多産地帯だ。5月にもなれば連日30度を超え、雲ひとつない晴天が広がるこの地域は、高温多照を好むメロンの栽培に最適で、人々も、ほとばしるような甘さを持つ夏のメロンが出回るのを心待ちにしている。隣国トルクメニスタンでは、大統領のメロン好きが高じて、「メロンの恵みに感謝する」ため、「メロンの日」という祝日が制定されたほどで、中央アジアの夏はメロンなしには語れない。
ウズベキスタンでは、
メロンは一口サイズを手づかみで 先週の日曜日、出回り始めた夏のメロンを求めて、バザールへと向かった。まだまだ最盛期には及ばないが、それでも、バザールのあちこちに、おいしそうなメロンが並べられている。日本でも見かけるような丸いものから、ラグビーボールのような形のものまで。色も形も様々だ。
露店のおじさんに、「甘いのを選んで」と頼むと、プロの目利きでしっかりと吟味してくれた。日本でよく見かける小ぶりなメロンの、倍くらいはありそうな大きなものが、ひとつ100円程度。現地の人も、品定めをして次々とメロンを買っていく。ここではメロンは高級品ではなく、人々の生活に根付いた果物である。
「2、3日待ったらもっと美味しくなる」と言われたけれど、我慢できず、家に帰って少し冷やした後、さっそく包丁を入れてみた。果汁が刃を伝って滴り落ちてくる。果肉は、やや黄色がかった薄緑。
一口、食べてみる。心地よい自然の甘みが口中に広がった。
掛け値なしに、おいしい。
結局その日、おやつに、デザートにと、ひとりで半分を一気に食べてしまった。
翌日、残りの半分を持って職場へ向かう。
休憩時間に、小さく切ったメロンをみんなで食べた。週明けの午後、暑さと疲れで口数が減る時間帯。それでも、よく冷えたメロンを口にすると自然と笑顔が広がり、会話も弾む。
7月下旬からの、“チッラ”と呼ばれる酷暑期には、摂氏50度に迫る猛暑となる日も珍しくないウズベキスタン。人々はメロンを食べ、果汁を滴らせながら厳しい夏を乗り切る。メロンは、この国の夏の風物詩だ。
食べると、自然の甘さが口中に広がる
休憩時のヒトコマ