花豆はおせち料理でもダンゼンの存在感です
まずはなぞなぞから。
甲子園球場に響き渡るのは「六甲おろし」。焼き魚の相棒といえば「大根おろし」。
では、旅人にもう1枚、外套を着させてしまうほどの北風は“なに”おろし?
答えは、上州・群馬の冬の風物詩「赤城おろし」。群馬県北部にそびえる赤城山から吹き降ろす強風、寒風のことです。元旦恒例の「ニューイヤー駅伝」でランナーたちを悩ます強風、といえばご存知の方も多いのでは?この「赤城おろし」に吹かれながら、群馬にある妻の実家で過ごした2009年のお正月。実は昨年結婚した私、妻の実家で迎える初めてのお正月になりました。生まれてこの方、自分の家のお正月しか知らない新米ムコ殿を待っていたのは、超特大の煮豆!
お土産にも人気の花豆です
群馬県の特産の一つ、花豆。花いんげん豆のことなんですが、その紫色の"つや"は目を見張るほど。物産コーナーにも、煮豆を中心に、パイやタルトといったスイーツまでさまざまな花豆アイテムが並んでいます。当然、地元の人たちは花豆を自家製の煮豆にして年を越すのが古くからの伝統。家ごとにオリジナルレシピがあって、新年のご挨拶にうかがった親戚の家々でも、それぞれの「マイ花豆」で出迎えていただきました。どの家の花豆も、「うちが一番でしょムコ殿、フフン♪」なんてどこか自信顔。しかも、その自信をそのままカタチにしたような大きさ!普通の黒豆に比べると、2倍?3倍?
お鍋で出番を待つ花豆たち
味もよくしみていて、食べ応えは十二分です。ムコ殿、「そんなに食べて大丈夫?」と心配されるほどにどの家でも完食したのは、花豆が本当に美味しかったからですって!(赤城おろしに誓って!)
お客様が多いお正月に、おせち料理としてだけでなく、ちょっとしたお茶うけにもなる万能さもまたうれしいところ。1月の半ば、小正月のころまで食卓に顔を出す冬の人気者なんです。さて、気になる花豆の煮方。実家のお母さんのレシピによると…
一晩水につけて3倍!ほどにふやかした花豆を、沸騰→水洗いを何度も繰り返しやわらかくなるまで煮てから、やっと味付け。
引きで撮ってもいいツヤ出してます!
煮汁に砂糖などなど(秘伝ですから細かくはヒミツにしておきましょうね)を加え、寝かせながらゆっくり味をしみこませます。我が家でも引き継ぐべく、妻がレシピメモを伝授されてました。季節を問わず好きな食材が手に入り、全国、その気になれば全世界のお料理が簡単に口に入ってしまう平成の食生活。それはそれでウレシイことではあるのですが、一方で、お正月など古くから日本の四季を彩ってきたイベントのことを、その時間を一緒に過ごす家族のことを、思い出せるお料理があるのも本当にありがたいこと。「赤城おろし」の中、温めてくれた心づくしの「マイ花豆」。
いいお正月になりましたね、ムコ殿。