「旅の友」を携える絶対条件は「かさばらない」「重くない」ではあるが、残念ながら本作は文庫には落ちていない。にもかかわらず「カトマンズ」のホテルで読み終えたのは、さほどのボリュームではないのでよしとしただけではい。
出かける前の選定段階で「チラ読み」したら止まらなくなって、止むを得ず旅鞄に押し込んだのだ。
海堂作品群の時系列からいって、すなわち本作に係る「医療・医術」の発展・進歩・革新の流れからも「バチスタ」の相当、前段階になる。
読めば読むほど以外の作品を読みたくなる海堂作品の例に漏れない「ああ、あれがこうなるのか!」「あの話がここへ来たか!」と読み進め、読み終える頃には「ん?これは先どーなる?」と宿題をもらったような気分になり、続きを含した作を探しにかかる。
「なぜ海堂作品は面白いのか?」の解が本作を通して見えるとするなら、本作の主題と著者をして作家たらしめている、あるいは作家たらんとした著者自身の自身に対するレゾンデトルの一致を認めるからではないだろうか?
当然とはいえ人の命の土壇場にかかわる「医」なればこそ、「技術」「手技」「仁術」「算術」「政治」数え上げればきりがない局面を全て包含し超越しようとする時、そこに広がるものは承認や賞賛どころか孤独でしかなかったりする。
Blaze Mes:火炎のメス。輝くほどに燃え盛る、自身をも焼きつくそうとも厭わずに。
かっこいいのですよ〜
って…
いったい本作の続きってどれなのさ!!!
作者名:海堂 尊
ジャンル:医療小説
出版:講談社