Bijoux de Paris〜パリの宝石箱

Paris――。
古くて新しいこの街には、人をひきつけてやまない何かがある。
写真家・榎並悦子も、その魅力にとりつかれたひとりのようだ。
ときに憧憬のまなざしで、ときに挑むようなまなざしで、
そしてなにより、愛するまなざしで切り取った、モノクロームのパリの姿の数々。
巻頭のエッセイで、岸惠子が、自らがキャスターをつとめた番組の第一回のゲストだったフランスの写真家、ロベール・ドアノーの言葉を受け、「水を湛えた眼。いくつになってもそんな眼をしていたいと、つくづくと思います」と書いているが、その言葉は、そのまま榎並悦子のまなざしをも語った言葉だと思う。そのまなざしが捉えた写真からは、モノクロームであるが故に、ヴィヴィドな色彩が浮かび上がってくるような気がしてくる。
パリを訪れたことのある者なら「また行きたい」と、まだ行ったことのない者は「死ぬ前に一度、この風景に出会ってみたい」と、思うことだろう。

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【著者profile】
榎並悦子
京都市生まれ。大学生の頃より、岩宮武二、高田誠三に師事。
卒業後、岩宮武二写真事務所を経てフリーに。
国内外、ジャンルを問わず、幅広いフィールドで活躍し、写真展も精力的に開催。
主な写真集に『都わすれ』『日本一の長寿郷』『越中おわら風の盆』『HALA BIRA〜大地を揺るがすフィリピンの祭』他、多数。
アメリカの小人症の人々を取材した『Little People』で第37回講談社出版文化賞を受賞。

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作者名:榎並 悦子
ジャンル:写真集
出版:クレヴィス

Bijoux de Paris〜パリの宝石箱