夢と現実のはざまで――クリスマスのパパ・ノエルの家


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巨大クリスマスツリーと
真っ赤なパパ・ノエルの家


今年も早や12月。リマの街はもうすっかりクリスマス一色だ。街角のロータリーや公園には大きなクリスマスツリーが置かれ、各家庭が灯す電飾で街は淡いクリーム色の光に包まれている。
そもそもクリスマスはキリストの誕生を祝うものだが、子供たちにとって大切な人物は、やはりサンタクロースだろう。そして子供たちの無垢な心を鷲づかみにするのが、この時期リマ市内のあちこちに出現する「パパ・ノエル(サンタクロース)の家」。大人のくせにサンタに会ってみたい私は、いそいそと出かけてみた。
しかし……パパ・ノエルの家に着くと、そこには長蛇の列が延々と続き、しかも一向に前進する気配がなかった。あまりの人数に気後れした私は、並ぶのをすぐ諦めてしまった。だが諦めた理由は行列だけではない、私がプレゼントを忘れてしまったからだった。



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延々と続く列。サンタに会うには何分待ち?


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やっと辿り着いても、すんなり入れない
パパ・ノエルの家。あともう少しだ!



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サンタさんに会えて大興奮の家族。
その喉を潤すのはやはりこの一杯

ペルーには、クリスマスを祝うことすらできない貧しい子供たちがたくさんいる。そんな彼らにも何かプレゼントをあげようという趣旨から「ここを訪れる際にはどんな小さなものでもいいからプレゼントを持って来てほしい」というのが、スポンサーである清涼飲料メーカーのリクエストだった。もちろん絶対という訳ではない。しかし子供連れならまだしも、手ぶらで入った大人がサンタとの記念撮影だけして出てくるというのは、やはり気が引ける。子供たちが大好きなサンタクロースに出会え、そして他人への思いやりも育む心温まるイベント。「サンタクロースに願いを」というイベントの主役は、やはり子供たちなのだ。

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ビール片手にはいパチリ。
サンタではなく
夕食の撮影をする私であった

しかし長い待ち時間を耐えてやっとサンタに出会えた興奮から、喉が渇く人も当然いるだろう。それを見越したように、売店ではそのメーカーの清涼飲料水が売られていた。子供には夢を、スポンサーには収益を。いやいや、わかりやすい。

目的だったサンタには会えなかったが、その後ライトアップされた美しいツリーやイルミネーションを堪能してから家路についた。園内には例の飲み物とケーキしか売られておらず、もうお腹は鳴りっぱなし。とにかく何か食べようと、入った先は中華料理屋。クリスマスにはなんら関係なかったが、やっぱり私にはジュースよりビール、サンタより目の前の食事が大事だと、熱々のチャーハンをほうばりながらそんなことを思ったのだった。