たくさんの人でごった返すケネディ公園日本での“読書の季節”は秋だが、リマの場合は春。今年もこの時期恒例の「リカルド・パルマ書籍フェア」がミラフローレス区のケネディ公園で開催され、多くのリマっ子で賑わった。
実はこの書籍フェア、昨年は地域の環境問題などから同公園が使用できず、急遽別の区で行なわれたという経緯がある。今年はどうなるのかと思っていたところに、「ノーベル文学賞にマリオ・バルガス・リョサ氏」というニュースが飛び込んできた。ペルー初のノーベル賞受賞に、国を挙げてのお祭り騒ぎ。テレビやラジオでは連日彼のインタビューが放送され、街の書店にはリョサ作品が目立つよう平積みされるようになった。またミラフローレス区は作品とも縁深い街であることから、この書籍フェアも古巣に戻ってこられたというわけである。私も新しい本との出会いを求めて、早速友人とケネディ公園へ足を運んだ。
マリオ・バルガス・リョサの特設コーナー
そのすぐそばに並んでいたアニメ雑誌会場は初日から大変賑わっており、リョサ氏の特設コーナーではテレビ局の報道スタッフがインタビューを行なっていた。コーナーには彼の作品のほか、生い立ちを綴った個人年表などもありなかなか面白い。年表によると、リョサ氏は1936年3月28日ペルー・アレキパ生まれ、19歳で10歳年上の叔母と結婚、1954年に離婚し1年後に今度はいとこと再婚……。さすが文豪、恋多き青年であったらしい。
リョサ氏以外にも様々な書籍が割引価格で販売されていた。専門書、小説、レシピ本などのほか、マンガやアニメ雑誌も売られていた。日本のサブカルチャーであるアニメはペルーでも人気があり、「OTAKU(オタク)」という言葉は世界の共通語になりつつある。ノーベル賞作家の作品とアニメ雑誌が並べて売られているのを見ると、文化に垣根はないのだと感心してしまう。
友人が買ったミニ本は
「ペルー観光」と「ペルースィーツ」
表紙の写真はパラカス文化のマントの一部。
日本人写真家、吉井豊氏によるものだとあるブースでは、長さ5cm程度のミニ本が売られていた。写真もきれいで情報満載、小さいながらよくできている。友人は日本へのお土産にとこのミニ本を2冊買った。専用のブックエンド付きで24ソーレス(約720円)。なかなかいい買い物だ。
私が見つけたのは『TEJIDOS DEL PERU ANTIGUO/古代ペルーの織物たち』。国内外の博物館に所蔵されている代表的な織物の模様の意味や織り方を、美しい写真を交えて紹介している専門書だ。こうした本は概して高価なため頻繁には購入しづらいのだが、フェアのお陰でなんと約35%オフ! これは掘り出し物だ、即買いだと思いつつ、いつもの癖でとりあえず値引き交渉をする私。「これ以上はありえないよ」という店主の言葉に「そりゃそうだ」と納得し、喜んで購入した。
11日間にわたって行なわれたリカルド・パルマ書籍フェアは、最終日が祝日だったこともあり大盛況のうちに終わったようだ。また来年もこの場所で新しい本に出会えますようにと願う私であった。