懐かしの「セツ・モードセミナー」――母校が結んだ絵の仲間

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セツ・モードセミナー卒業式の集合写真
「セツ・モードセミナー」という学校をごぞんじだろうか。
これは故・長澤節先生がはじめたファッションイラストの私塾で、イラストやデザインの仕事を目指す若者には知られており、ある種の憧れを持たれている。通称「セツ」。

実は私も3,4年前はここに通っていたのだが、一応2年間在籍はしたもののイラストを本業と志すことはやめてしまい、絵画は趣味の範囲で続けることにした。しかし当時の同級生とは今でも連絡をとり合っている。
先日も、同級生のひとりIさんがムーンライト展というコンペに入選したとのことで、さっそく見に行った。
と、そこで、ひょんなことからCさんという女性と知り合いになり、意気投合。偶然にも、彼女の入選作品は、Iさんの隣に展示されていた。しかも、Cさんもセツ・モードセミナー卒だという。
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クロッキー風景。みんな集中!
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左がベテランCさん、右が私の絵。
描き慣れた人は違うなあ
そんなこんなで盛り上がり、Cさんがご自宅で開いているというクロッキー会に参加する運びとなった。
それから約3週間後、クロッキー会当日。そういや私、Cさんと会うのはまだ2度目だ……のこのことご自宅まで来たけど、一体どんな人が集まるのか? と、いまさらのようにオドオドしているところへ、次々と参加者が集まってきた。
Cさんの絵画の教え子Tさん、「セツ」OBのHさん、同じくOGのRさん。そして……この日のモデルはなんと、「セツ」でよくモデルをしていたNさんだった! わー、お久しぶり!
Nさんはその容貌もポージングも大人気のモデルさんだが、「セツ」を卒業したらNさんを描くことはないと思っていたので、感激である。とくにNさんとRさんは10数年ぶりの再会だそうで大喜び。

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いまやフットセラピストのRさんに
足裏診断されるNさん
しかし挨拶もそこそこに、さっそくクロッキーを始める。Cさん主催のクロッキー会では、描き手がモデルさんのポーズを指定できるという、かなり贅沢な趣向。「3分間のポーズを6回とって」「ヒョウのようなポーズを」「偉そうに歩いてみて」……といった描き手のワガママに答えていくNさん。私たち描き手も、必死になってNさんの姿を追う。
……そう、「セツ」の授業を、そして「セツ」に通っていた頃を思い出すひととき……。

クロッキーは、制限時間が短いため集中力を要し、緊張感が凝縮されている。その反動なのか、後の茶話会では一挙に空気がほぐれ、話に花が咲いた。
みんな、「セツ」を卒業してから進んだ道はさまざま。私は絵とは関係のない仕事に就いてしまったけれど、こうしてひとたび「セツ」という繋がりをたどれば、また共有できるひとときがある。
かつて通った学校が結んだ出会いと縁の力をひしひしと感じるのであった。