札幌ではポプラ並木があちこちに。
高さは20メートルほどにもなる冬でもないのに雪……といえば、北海道の風物詩としては晩秋に飛ぶ雪虫です。その正体は、お尻に綿状のものを付けたアブラムシの仲間が大移動する風景なのですが、いまは夏。7月の話題ではありません。
しかーし、「7月にも雪が?」と見まがう光景を目にすることがあります。北海道に移住したばかりのころの私、あまりに季節外れすぎる光景にビックリしました。
なんと、辺り一面に白くぼたん雪が降っているではないですか。
もちろん異常気象ではありません。私の住むそばにはポプラ並木があります。そこからビッグサイズの綿毛がふわーん、ふわーんと舞っているのです。
ポプラの枝には今にも飛び立とうとする綿毛がわっさりと
まだ飛びはじめのころ。
強い風が吹けばくっきりと白い帯がポプラの木は概して背が高く、青空をバックにそびえる姿は写真やスケッチなど恰好のモデルになっています。成長が早いので、開拓時代には防風・防雪林として、また隣の土地との境目の印によく植えられたのだとか。北海道大学のポプラ並木が全国的に有名ですが、今は公園や街路樹など、札幌のいたるところで爽やかな緑を提供してくれます。
ポプラは葉柄(ようへい)、つまり葉のくきのような部分が平べったいので風によく揺れます。風が強い札幌ですが、そんなときはザーッ、ザーッと鳥がいっせいに飛び立つような音を立てて揺れています。ちなみに、ポプラの語源は「ふるえる」意味から来ているとか。一方で花言葉は「勇気」だそうです。人に例えると、普段はナイーブだけどいざとなったらやるときはやる! そんなタイプでしょうか。
こんなにたまっていると何かをつくれそうな気がしてくるそんなポプラの綿毛が風で道わきにたまると、まるでコットン・ロードとも呼ぶべきホワイトの筋が延びています。手ですくってみるとやわらかく、本当に綿のようなやわらかさ。これを元に糸をよって何かつくれるのでは? そう錯覚するぐらいですが、もちろんそんなことはできません。さらによく見ると、ポプラの綿毛は直径2センチほどの落下傘形。それにゴマ粒のような種がついていて、「本当にこれがあの大きな木になるの?」と思ってしまいます。
生えたばかりのポプラの赤ちゃん。
葉の直径は約1センチこれだけ種をわっさりと付けてドッと飛ばすポプラですが、もちろん大きな木になれるのは数えるほど。小さいものは雑草と見間違うものから、 子供の背ぐらいの若木などを見ると、どれも「大きくなれよ」と応援したくなります。古くなると倒れやすいので、一方では伐採されてしまった老木の切り株もよく見かけますが、そこからまた新たな芽がワッサリと生えていたりして、これまた「がんばれよ」と声をかけたくなります。
北海道大学だけではなく、あちこちで札幌市民に親しまれているポプラの木。綿毛が飛ぶ時期は2週間ほどですが、並木のそばで幻想的な“雪景色”に出会えたら、あなたはラッキーかもしれません