家族に囲まれて幸せいっぱいの義父(中央)義父の70歳誕生日パーティーに出席するためにイギリスに飛んだ私たち。“家族みんなの顔を見られることが自分への最高の誕生日プレゼント”とアルゼンチンに住む私たちを招待してくれたのも義父のそういう思いからだった。
パーティー当日、昼12時を過ぎると義父の兄妹や従兄弟、彼らの子供たち、彼らそれぞれの孫たち……と、Extended familyが集まって来て文字通りビッグファミリー大集合、70人ほどの顔ぶれが揃った。各々が庭でカクテルやビールを楽しみながら義父の人生70年を契機にみんなが集まれたことを喜んでいた。そしてドリンクを片手に久しぶりの顔ぶれに軽くあいさつを交わした後、庭に建てられたテントの中に誘導されて着席、そこで料理が振る舞われた。
ドリンク片手に久々の再会を喜び合う
まずはドリンクとカナッペを片手におしゃべり料理はイギリスならではローストビーフ、じゃがいもを揚げたベークドポテト、ブロッコリーや人参などの野菜の付け合わせとグレイビーなど。グレイビーとは調理された肉から出る肉汁にブイヨンを加え片栗粉でとろみを付けたソースのことでローストビーフには欠かせない。イギリス料理は不味いイメージが定着しているが、それは思うに料理の味付けや調理法にあまり工夫がないために素材の味に左右されるためで、農業が盛んで良質な素材に恵まれるここケントでは、イギリス料理の悪質イメージを吹き飛ばすほどだった。ちなみにケントはドーバー海峡を隔ててすぐフランスに面する。料理の美味しさは美食大国フランスとの近距離も影響しているのかもしれない。
これぞイギリスガーデンパーティー
ローストビーフはイギリス料理の代表
キューカンバーサンドイッチと
スコーンでティータイムそして食事の後はアフターヌーンティー。紅茶とともにキューカンバーサンドイッチやスコーンをいただく。このキューカンバーサンドイッチ、鮮度や衛生上の問題から調理した野菜しか食べられなかった時代、生のキュウリを食べられる贅沢を有したのは貴族や一部の上流階級だけだったため、イギリスでは富の象徴として今でもアフターヌーンティーには欠かせない。「ハムくらい挟めばいいのに……」などと思っていた当初の私だが夏の暑い日に食べるキューカンバーサンドイッチの清涼感の格別さにこのたびなるほど、と納得した。
今回の義父の誕生日パーティーで集まった大家族。ファミリーとはいえなかなか全員が揃って集まることがないだけにライフタイムに刻まれる貴重な一日となった。もう二度と会えないだろう人もいるだろう。一期一会を噛みしめた日となった。