靖国神社のみたま祭り

6年ぶりに東京へ帰ってきた私は、夏祭りの風情ある靖国神社にいた。21歳でお国のために戦死していった叔父、西川正氏の英霊を慰める式典に参加するためだ。
この式典は毎年7月に行なわれる。 昭和22年に始まった「みたま祭り」。すっかり東京の夏の風物詩として定着しているが、見る人を圧倒されるのは仙台の七夕祭りで使われている大きな七夕の飾り物だろう。

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参道の両側は黄色いちょうちんがたくさん


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最近は外国人の露店も人気

外国の観光客も歓声を上げながらシャッターを忙しく押している。参拝者も多くいるが、屋台を冷やかす家族連れも楽しそう。冷たいスイカが氷にプカプカ浮いている。そして昔懐かしい屋台での焼きそば、お好み焼き、最近ではタイ人の作っているタイ料理の屋台も人気だそうだ。


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仙台の七夕祭りの飾りはインパクトが

冷たいビールでアツアツの焼きそば、焼き鳥などを食べていると、一足早い夏祭りが経験できてワクワクしてしまう。小さいころ祖父母に、近所の神社へ連れて行ってもらった事が鮮明に思い起こされる。あのときにせがんで遊んだ金魚すくい。ほどよく冷やされたラムネ。人気キャラクターのプラスチック製のお面も買ってもらったっけ。あれから40年あまりが経ったとは思えない変わらなぬ夏祭り独特の風景に、思わず元気になって張り切ってしまう。

厳かな式典は、靖国神社境内で行なわれる。撮影の許可がおりないのが残念であるが、ひとりひとり若くして神風特攻隊で亡くなったみたまの名前を呼ばれて、平安時代に舞い戻ったかのような格好をした巫女さんをはじめ、雅楽を演奏する人たちの演奏に耳を傾ける。背後ではセミが大きな声で鳴いている。親族は立ちあがり、数分間黙祷。ふたりの巫女さんは舞いながらも、海の幸、山の幸の入った大きなかごを持って英霊に捧げる。酒の瓶も置かれている。
境内の奉納行事の一環として「どじょうすくい」を楽しんだ。式典で厳格な気持ちをふと和ませてくれる踊りで、思わず微笑んでしまう。

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屋台を冷やかすのは祭りの楽しみ


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靖国神社の外観

隣接されている資料館では叔父の遺書、血痕のついた軍服などが陳列されていた。それらの遺品を見ていると、彼の死を無駄にしないためにもちゃんと前向きに生きないといけないと最近年とともに痛感する。
少し感傷的になって神社あとにすると、大勢の人が夜店を見ている。最近はゆかた姿の若者が多い気がするが、日本にいるのだなァとホッとする。今年の夏祭りは久々にゆかたを着てみよう。そう決心しながら帰路に着いた。