渡し舟に乗って酒粕を買いに行きました

空気は冷たいけど陽射しが明るい早春の午後、渡し船に乗ってグランビルアイランドへ買い物に行きました。真っ青な空には白い綿のような雲が浮かび、カモメが空高く飛び、外に出た途端、心が浮き立つようです。船着場まで歩いて10分、船といっても数人が乗ればいっぱいになってしまう小さなフェリーに乗ると、5分もしないでグランビルアイランドに着きました。ここは5年前の春、日本の皇太子さまが観光で立ち寄られたところ。観光客も庶民も、買い物や食事・アートまで楽しめる島、というより出島なのです。



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ここから渡し舟が出ます


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こんなに小さなフェリーです

船を降ると、パブリックマーケットの入口が私たちを待ち構えていますが、その日のいちばんの目的は、カナダ初の日本酒の醸造元で酒粕を買うことでした。
実は昨年秋、日本滞在中にNHKのテレビ番組『試してガッテン』を見て、酒粕が生活習慣病の改善に役立つと知り、夕食の後、甘酒を飲む習慣が定着しました。なぜなら私たち、コレステロールが高めだからです。
年末にバンクーバーに戻ってしばらく甘酒からは遠ざかっていたのですが、近くに住む友人が私たちの話を聞き、この島で購入した酒粕を届けてくださったのです。そして夜の甘酒が再開したのですが、間もなくしていただいた酒粕は底をついてしまいました。



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ようやく探し当てた「酒工房」


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店先には日本人杜氏の写真が飾ってありました

地図を見ながらようやく辿り着いた酒屋さん(Artisan Sake Maker)で、酒粕を買った後、外に出て写真を撮っていると、醸造元のご主人が出てきました。写真を撮っている私たちに、「ご旅行でいらしたのですか?」、

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商品ラインアップ。赤いラベルのお酒を買いました

「いいえ、バンクーバーに住んでいます」から会話が始まり、私たちが酒粕を買いに来たと話すと、NHKのお蔭でこのお店の酒粕も良く売れたという話をされました。あの番組の後、ニューヨークの酒屋さんではすべての酒粕が売切れに。そこでNYの酒屋さんから、バンクーバーのこの醸造元に注文が来たというのです。日本人の健康志向は、どこにいても根強いようです。
その後、カナディアンに日本酒に馴染んでもらう努力してきた話などを聞きました。カナディアンは日本のお酒をワインの感覚で好むそうです。 そんな話を聞きながら再びお店の中に入り、麹が入った新製品のジュースをご馳走になったり、お酒の商品説明を聞き、試しに日本酒を1本買いました。

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酒粕2個で8ドル

このお酒(商品名「OSAKE」)は、日本の最高級酒米とBC州の湧き水で作られたカナダ産の日本酒。普通のリカーストアーで買える「月桂冠」や「白鶴」より3倍ぐらい高いのですが、カナダで初めて日本人が作った日本酒を手にして、ちょっと豊かな気分で、次の買い物に向ったのです。

そして夜、久しぶりに夕食後の甘酒を楽しみました。ほのかに甘い甘酒をバンクーバーで味わえるとは感慨無量。甘酒は冬の飲み物というイメージを持っていたのですが、健康を願い、春爛漫を待ちながら飲む甘酒も悪くないと思った夜でした。