【冬は橋】歴史のあるヴェッキオ橋

fuyu151222_01.jpg私の長男は親ゆずりなのか、美術館巡りとイタリアオペラが好き。かなり頻繁に我々親子は娘を置いて旅をしています。そういう二人が選んだのは、フィレンツェ。ウィーンから夜行列車で行くともうフィレンツェというのも余裕で行けます。
都会の喧噪を逃れてトスカーナの旅をしたくて、トスカーナ独特の石造りの農家をペンションに改造した宿は大成功でした。バス1本でもうフィレンツェ市内に入ってしまいます。
昔オペラの伴奏をしていた頃、プッチーニの「ジャンニ・スキッキ」というオペラの中にあるアリア、『愛しのお父様』の中の歌詞で「ねえ、私の大切なお父さま。私あの方が好き。とてもステキな人なの。だからポルタ・ロッサ(フィレンツェの中心街の名)へ指輪を買いに行きたいの!(中略)そしてもしもこの愛がかなわないものならヴェッキオ橋に行って代わりにアルノ川へ身投げしますわ!」というラウレッタが恋人との結婚を許してもらいたいがゆえ、お父さんに歌う場面に出て来ます。そう。偉大なプッチーニはトスカーナのルッカ出身なのです。オペラで登場する橋って一体どういう所なのだろうといつも気になっていました。
伴奏以来ヴェッキオ橋に興味があった私はとうとう息子と訪れました。ポンテ・ヴェッキオは「古い橋」という意味ですが、河の氾濫のため1345年に建て直されました。しかもカラフルなアパートが橋の所に建てられています。かつては橋の上で街中の肉屋が集められて、色々な部位を橋の上から直接捨てられるように商売をしていました。あまりにも景観が悪く、肉の匂いが強いので1595年、トスカーナ大公、メディチ家のフェルディナンド1世が全ての肉屋を撤退させました。その代わりに見た目にも美しい貴金属の店や、宝石店に変えました。彼としても自宅があるピッテ宮から職場であるウフィッツィ美術館までのロケーションにこだわったのでしょう。それ以来今日に至るまで宝石店が多く橋の上で営んでいます。橋には多くの観光客が連日訪れては、素晴らしいロケーションを撮影したり散策したりで大混雑。特に夏の時間によってはごった返すこともあります。永遠にオペラの中でも歌われているフィレンツェのプライドであるヴェッキオ橋。今度いつ再会できるか楽しみです。

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