外国でバスを乗りこなすのは、外国人にとってなかなか難しい。
まず、バスを止めるところから問題は始まる。バス停でボンヤリしていると、バスが目の前を通り過ぎていくかもしれない。国によっては、手をあげるなり振るなりして、乗車する意思表示をする必要がある。
フォルムは日本と同様なヘルシンキを走るバスバスを止めたら止めたで、完全に止まらず徐行するバスに飛び乗らなければならないとか、恐るべし混雑具合で入口のドアの手すりにしがみついていなければならないとか、降りるバス停までドキドキしながら地図や景色とにらめっことか、問題が続出する。車内で次の停車駅が表示されない。仮に次の駅名がアナウンスされても聞き取れない。おまけに、停留所自体にもバス停名が書かれていないこともある。と、ハードルは高いのだ。
ヘルシンキでも、まずバスを止めるところで、外国人には問題が発生する。大きなバスターミナルからの乗車でない限り、目当てのバスが近づいてきたら、大きく手をあげて乗る意志があることを伝えないと、バスは停車してくれない。
かつて日本から訪ねてきた知人は、私のアドバイスそのままに手を「まっすぐ」あげた。これがいけなかった。「まっすぐ」あげたために、ひっきりなしにバスがやってくる大きな通りにも関わらず、すべてのバスに素通りされたのだった。日本式の「まっすぐ」手をあげるのではなく、手を前方に差し出すようにすべきだった。それにしても、バス停に立っているのにバスが止まってくれないなんて、ちょっと哀しい。こんなところでも、外国人はヘコんだ気分になる。
ヘルシンキでバスを停める場合はこのように手を差し出すとは言え、こんなにハードルが高くとも(?)、ヘルシンキのバスはとても快適だ。サービスのひとつとして快適性を重視し、ラッシュ時でも目標乗車率が75%。すし詰め200%乗車率のバスに鉢合わせることはない。比較的治安のよいフィンランドでは、ぎゅうぎゅう詰めのバスで自分の荷物をしっかりにぎりしめているうちに汗びっしょり、という経験をしなくてすむ。また、ほとんどがノンステップバスで、車いすやベビーカー利用者は運賃無料というところも、福祉国家ならではのふところの広さを感じる。
さらに、ヘルシンキのバスは、市内だけで100を超えるラインが運行。市内および近郊都市間のあらゆる路地を隈なく運行している。バスを乗りこなせれば、ヘルシンキ市内、いやいやフィンランド中どこまでだって行ける気がしてくるのだ。
ヘルシンキ中央バスターミナル