「オラシオンを外して、他の二十二頭の単勝を全部買うんだ。千円ずつ」
(宮本輝『優駿』)
毎年ゴールデンウィークが終わるころになると、本棚から出してくる宮本輝さんの『優駿』。冒頭はそのクライマックス、ダービー直前の一節です。
ただいま、ダービー!
かれこれ20回くらいはLIVEで見てますでしょうか毎年この名作を開くのは、5月の最終日曜日に行なわれる競馬の祭典「日本ダービー」に向けてのムコ殿の恒例の儀式。『優駿』で主役を演じるオラシオン、彼の波乱のドラマを追い、今年の出走馬の動向をチェックしつつ、一日千秋の思いでダービーDAYを迎えました。
数えること80回目という記念すべき2013年の日本ダービー、舞台となる東京競馬場はお祝いムード一色!
昨シーズンから安定した戦歴の3頭の有力馬に、成績にかげりの見え始めたといわれる武豊ジョッキーが新星(名前はキズナ、これもまたドラマチック)とどう挑むか――。そんなスリリングな展開もあって、競馬場に詰めかけた観衆は13万9806人!(前年比121%の大幅増ですって!)
現場に着くと「5時半から並んだけど席なかったよ!」なんて声も聞こえてきました。まさに競馬の祭典、ダービーだけはこの目でみたい、オールドファンも若者も思いはひとつなんです。
ただしですね、大ビジョンではなく自分の目で駿馬たちを見るには、そこそこの場所を確保しておかなくちゃならない。そうすると朝8時前には競馬場にいたい。
1日に12のレースが催されるものの、第1レースの発走は10時、ダービーにいたっては15時半すぎ。予想をしつつこの膨大な空き時間をいかに満喫するか、それもダービーDAYのもうひとつの焦点なのです。
で、今年ムコ殿が狙っていた楽しみのひとつが、じつはどら焼き。競馬場のお膝元、府中にある老舗の和菓子屋さんが東京競馬場限定で売っていると聞きつけて、今度行ったときには!とチェックしてました。
競馬場着、7時50分。緑あざやかなターフが寝不足気味の目にしみるようです。売店もしっかり朝から開いていたので朝ごはんがわりに頂戴しました。3個入りのどら焼きはなめらかな粒餡、皮にはしっかり馬の焼印。これはこれは心憎い演出です♪ うん、お土産にもよさそうですね。
これが東京競馬場限定「うまいどら焼き 馬ドラマ」。
ネーミングセンスをはるかに上回るおいしさ!こうして朝から気分よく始まったダービーDAYは、感動のエンディング。「大外キズナ!大外キズナ!」の実況とともに直線で一気に追い込んだ武豊キズナが前人未到のダービー5勝目を手に入れ、13万人の「ユタカコール」が場内に響き渡りました。
左のほうに写ってる9番が2着でした。
勝ったキズナはもっと後ろ、最後の最後に猛烈に追い込んできました隠れた銘品に出会えて、ダービー史に残る名レースも目撃できて、最高のダービーDAYになりました。はい、紙一重だった馬券はともかくとして……。