先日のこと、あるレストランチェーンで「シェフのきまぐれサラダ」というメニューを見つけた。この「きまぐれ○○」というメニュー、ときおり飲食店で見かけてしまうたびに「なぜそんなきまぐれに付き合わなければいけないのかっ」と感じるのだが、そのときもそう思いつつ再びメニューを眺めてみると、写真の下に“230kcal”というカロリーの目安が記載されていた。きまぐれてないじゃん、それじゃ(笑)。
こちら某店に「きまぐれ」で作っていただいたパスタ。
この日「オススメ」のワタリガニでした
さて、この「きまぐれ○○」、日本人気質の料理人からすれば“きまぐれ”に食べ物を出すなんてありえなそうだが、これやっぱり外国語に語源がある。食の都であるイタリアの言葉で「カプリチョーザ(capricciosa)」の日本語訳が「きまぐれ」なのである。サラダをはじめ「きまぐれパスタ」など、そういえばイタリア料理屋でよく「きまぐれ○○」を見つける気がするが、それは「ピッツァ・カプリチョーザ」など、イタリア語の料理名を忠実に訳しているということなのだ。
なお、数店のイタリア料理店に聞いてみたところ、「仮に“きまぐれ○○”というメニューを作ったとしたら、その日にオススメの食材を使ったサラダやパスタ、ピッツアになるでしょう」とのことだった。そう、つまりは「オススメ」なのである。「じゃあ板さんのオススメで」というのはあるとしても、「じゃあ板さんのきまぐれで」というのは、日本人として、というか日本語としてあまり馴染まない(気がする)。「カプリチョーザ」を「オススメ」と意訳すればよかったのかもしれないが……ただまあ、「きまぐれ」と直訳したのもまた日本人らしい(気がする)。
ちなみに、筆者の家の近所にイタリア料理のチェーン店「カプリチョーザ」があるが、冒頭のきまぐれレストランはそちらではない。念のため。