いまから登れる”日本最低峰”

明日(7月3日)のことだが、我らがアラカン編集長が富士山へ登るそうである。

富士山といえば言うまでもなく日本の最高峰。標高3776m、“みななろう”と覚えている人も多いのではないだろうか。ちなみに富士山の次に高いのは南アルプスの北岳(山梨県)で3193.2m、三番目となるのが奥穂高岳(長野県、岐阜県)の3190m。まあ、この富士山に次ぐ高い山というのも、盲点のウンチクかもしれない。

さて、では日本でいちばん低い山……“最低峰”などという言葉があるのかどうか知らないが、我が国の土地関係の元締め=国土地理院認定の最低峰はどこなのだろうか。

ところで、そもそも山の高さなどどう測るのかというと、「A地点からB地点までの距離を計る」などの意図で国が設置した「三角点」を基準としている。ある山の山頂にある「三角点A」と、その付近にある高さと位置がすでに明確な「三角点B」とで直角三角形を作り、その距離を計測する『三角測量』を用いるのである。つまり、山頂に三角点が設置されていて、初めて山は山たりえるとも言える。


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天保山山頂。
敷石の真ん中でへこんでいるやつ、あれが三角点

たとえば今日、自宅の庭に高さ4000mの盛り土をしたとしても、これは日本最高峰でも、ましてや山ですらない。かつて人工的な作業でできたものでも「築山」として立派な山だが、今日行なった庭の盛り土には三角点が設置されていないので、山ではないのである。国土地理院の地形図での「山」は、三角点の設置を基準に記載されているわけだ。

それを踏まえての日本最低峰は、大阪市港区にある天保山で4.53m。また天保山は築山であり、自然にできた山では徳島市の弁天山が6.1m。ちなみに横浜の“港の見える丘公園”は海抜40m、しかしこれは丘(公園名だけど)。天保山や弁天山は約10分の1の高さで山。誰がなんと言おうと国土地理院が認めた立派な山なのである。

こうなると世界一? いや、日本の場合は国土地理院がエイヤッと決めているわけだが、世界的に“低い山”に関する定義は存在しない。まあ、主張だけですむならなんとでもできる話だしねえ。おそらくどこかの国で言っているのではないだろうか、「我が国のマウンテンが低さのワールドレコードだ」と。言ってないか。

※三角点についての補足
三角点は、重要度などによって一等〜四等に分けられており、最重要の一等三角点は設置間隔も広く、設置数も少ない。それ故、一等三角点の山を回るというこだわりもあるそうで、そこでは富士山は二等三角点なので外れてしまうのだった。また、天保山も二等三角点であり、一等三角点の最低峰になると堺市にある蘇鉄山の6.84mである。