囲碁における”0.3ミリ”の謎

テレビを点けてみると本当に多種多様、様々な番組が放送されていると感心するが、これが休日ともなると、ジャンルが「趣味」となりそうな番組がこれでもかと並んでいる。多趣味を自認する人は、日曜の朝から将棋→囲碁→競馬→ゴルフ→『笑点』などというテレビローテーションになっていないだろうか。さらに冬の時期は陸上とラグビーがやっている、さらに大相撲も開催中だったりすると、CM中は常にザッピング状態になっていること請け合いであろう。
さて今回は、そんな日曜の娯楽として根強い人気を誇る囲碁のおはなし。

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碁石。
この画像でもたしかに白石が0.3ミリ小さいのですよ
中国の三国時代に呉の孫策が打った棋譜が残されているなど、相当に長い歴史を持つ囲碁。発祥と考えられている中国から日本へ伝わったのも7世紀ごろと古く、ゲームとして親しまれているのはもちろん、日常でも多くの慣用句を残すなど(「駄目」、「一目を置く」など)、文化的貢献度も高い。また、“頭のスポーツ”としてオリンピック種目化も目指しており、10年に開催された中国・広州アジア競技大会では種目採用された。

その囲碁において、ほんの小さなウンチクをひとつ。どれぐらい小さいかと言えば、これが0.3ミリ。0.3ミリ差があるという話なのだが、さてこれなんの差でしょう。
いきなり答え。碁石の黒石と白石の大きさで、黒石の直径22.2ミリ、白石の直径21.9ミリと、白石が0.3ミリ小さいのである。なお、いま記したのは基準とされている大きさだが、たとえば“ミニサイズ碁石”など一回り小さかったりするものでも、白石は黒石より0.3ミリ小さく作られている。
なぜこの差があるかというと、白色やオレンジなどいわゆる「暖色」は大きく(膨らんで)見える「膨張色」である、というところから来ている。囲碁は陣地を取り合うゲームであることから、碁盤に並ぶ石を見たときに、黒石よりも白石のほうが膨らんで見えることで戦況を錯覚し、万が一にも敗着にならないようにしているのである。
ちなみに白石は蛤の貝殻から作られており、主な産地は宮崎県。一方の黒石は三重県を産地とする那智黒石を原料にしている。

ところで、この白石の膨張色というのはもちろん碁石だけの話ではない。衣服などでもよく指摘されることで、暖色の上着を着ているとなんとなくポチャッと見え、寒色だと締まって見えるのはこのことからである。