国家の国歌なおはなし・その2――今回は我が国

前回の英国歌に続き、今回も国家の国歌なおはなし。取り上げるのは我が国の国歌について。あ、韻を踏んだついでに言うと、国家の象徴とされる「国花」は皇室の御紋である菊、そして桜のふたつである(法定はされていない)。
 


graduation_03.jpg
卒業式。筆者は「『君が代』斉唱」の時代でした

日本国歌はおなじみの『君が代』。1999年8月13日に公布、即日施行された「国旗及び国歌に関する法律」、いわゆる“国旗国歌法”によって法定されている。立法以前に国歌として“採用”されたのは1880年のことで、さまざま国際舞台や、身近なところでは学校の卒業式などで、『君が代』や“日の丸”を口に目にしてきたはずだが、厳密に規定されたのはこの法律の施行後となる。
それ以前に物心が付いていた方などはよーく思い出してみてほしい。法律が施行される以前は「国歌斉唱」、「国旗掲揚」ではなく、「『君が代』斉唱」、「日の丸掲揚」などと式次第でアナウンスされていたはずだ。
ちなみに、国旗国歌法は「第1条 国旗は、日章旗とする」、「第2条 国歌は、君が代とする」、この条文わずか2条(附則3項、別記2。附則事項には施行日などが、また別記には日章旗の寸法、『君が代』の歌詞、楽譜などが記されている)のものである。

さてこの『君が代』の歌詞、もちろんごぞんじだろうが引用すると以下のようになる。


君が代は
千代に八千代に
細石の
巌となりて
苔のむすまで


五七五(1字余り)七七……そう、『君が代』は実は短歌
だったりする。平安時代に編纂された『古今和歌集』に集録されていた短歌に、幕末・明治時代の雅楽奏者である林廣守が曲を付けたのが日本国歌『君が代』の始まりとなったのだ。
最後におまけでひとつ。短歌である『君が代』の歌詞の総文字数はひらがなで32文字。これ、歌詞がある国歌の中では世界一歌詞が短い国歌ということになる。