こちら長いほうの代表、太陽王・ルイ14世。
さて短い方の代表は……?
反大統領派の市民による革命的行動によって、ムバラク大統領が辞任に追い込まれたエジプト。
ムバラク氏の大統領就任は81年の10月。つまりは30年近くもの間、国家元首の座に就いていたことになるのだが、世界を見渡せばまだまだ長い例はたくさんある。現在のイギリス国王であるエリザベス2世(エリザベス女王)は先ごろ在位59年目に入り、我が国でも昭和天皇が62年強の在位期間(神話や伝説を除けば、歴代天皇として最長)を誇っている。また、現時点で世界最長記録としては、紀元前の古代エジプト王朝のペピ2世の94年(6歳で王=ファラオに就任。ただし64年説もある)、中世に限ってもフランス王・ルイ14世の72年があるなど、ムバラク氏の2倍(3倍もか)近い在位の人物はけっこう存在するのである。
では逆はどうか。「短い在位期間の国家元首」となると、政情が安定しない国家の大統領など年、いや月単位で何人もいそうだ……という想像にとどめを刺してくれる項目がおなじみ『ギネス・ワールド・レコーズ(旧ギネスブック)』に掲載されていた。「世界一短い在位期間の国家元首」というそのまんまの項目に記載されている人物は、ポルトガル国王のルイス・フェリペで、在位は1908年2月1日のみ。しかもその2月1日、父であるポルトガル王・カルルシュ1世と同行していた際に襲撃され、カルルシュ1世が即死。同時にルイス・フェリペ皇太子も致命傷を負っていたため20分後にこの夜を去ったことから、
カルルシュ1世死去→皇太子のルイス・フェリペ即位も20分後に死去→弟のマヌエル2世即位
この一連の流れで、ルイス・フェリペ王の在位はわずか20分間となっているのである。
いわゆる“即位式”のような儀式が行なわれておらず、正当性を疑問視する意見もないことはないが、それでも立派なギネス認定のおはなし、である。