5月23日
ハーブティーの入ったペットボトルを2本携えてやってきた。前日話しているうちに、同じハーブティーを愛飲していることがわかって、わざわざ煎じて持ってきてくれたのだ。
「毎日持ってきたげるよ」
友は病院から歩いて5分ほどに住まいしている。
「ついでだから」
こともなげに言う。
5月24日
「今日は行けないわー。ごめん」
「そんな、ごめんだなんて、ムリしなくていいよ~」
そんなメールのやりとり。
5月25日
「今日はゆっくり話しできるよ」
ペットボトルを持ってやってきた友と長話した。時間の経つの忘れて、互いの近況報告やら何やかや。毎週末、岩や山にでかけていたものだから、これほどじっくり話しをしたのは半年近く振りだった。
「ボトル空いたら捨てないでとっておいて」
空になったのを手提げにしまって「またお茶持って、来るから」と、友は言った。
5月28日
正午少し前。病院の昼食時間。
プラスチックのトレーを前にため息をつく。
「あああ、またメシかよ」
いやいや食べ始めたら、携帯の着信音。ちらりのぞいたら友からだった。
「今日とか、来るのかな~」
ともかくも、目の前のメシを片付けてから下へ降りて、折り返し電話しよう。
また着信音が鳴った。
「急ぎかな?」「なぜメールじゃないのかな?」など思いつつ、留守電を再生してみた。
留守電の声は友ではなく、友の娘だった。聴くうちに手が震えてきた。
どうしよ!どうしよ!!どうしよ!!!…
頭から血の気が退いていくのがわかった。もう一口だってものなど喉に通らなくなった。
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