名匠・山田洋次映画監督50周年記念企画の第1弾として、1月6日から隔週で発売されている『男はつらいよ 寅さん DVDマガジン』(講談社・全50巻)。その発表記者会見が栄えある第1巻発売前日の1月5日に行なわれ、山田洋次監督、倍賞千恵子、野間省伸・講談社副社長と、“寅さん落語”を操る落語家、立川志らくが出席した。
MC:まずはご挨拶からどうぞ。
山田監督:今日は、ちょっと不思議な気がしています。なんだか最新作の発表のような……隣にさくら(倍賞千恵子)さんもいますし。寅さんシリーズは48作を通して「家族の物語」だと思う。寅さんと妹、おいちゃん、おばちゃん、隣近所、地域の人々との心の繋がりがメインテーマになっています。今の時代、日本人にとって家族とはなにか? 人と人との絆とは? もう一度、この作品を通して求められているように思います。
倍賞:客席にお兄ちゃんがいたので(寅さんのコスプレ姿の記者が!)びっくりしました(笑)。48作品に出演させていただいて、27年間の時の流れのなかで社会とか世間とか人を見る目、そういったことを勉強させてもらったと思っています。(DVDマガジンという)こういった新しい形で発売されるということは、お兄ちゃんが「初心に戻れよ」ってどこかで言っている、そんな気がします。とても楽しい本です。みなさんに見ていただきたいです。
MC:さて、大の映画好きで、特に『男はつらいよ』の大ファン、このDVDマガジンで「面白掛け合いみどころガイド」を担当されている落語家・立川志らく師匠に挨拶をお願いします。
志らく:私、自分で勝手に『男はつらいよ48作ひとり語り』という高座をやっていまして、それを山田監督が聞きにいらしてくださり、それ以来、監督には可愛がっていただいています。DVDでは、寅さんの写真と架空対談をやらせていただいています。
MC:それでは、そのDVDに収録されている「面白掛け合いみどころガイド」のほんのさわりをお願いします……
ここで志らくが「寅さんと48作の中でいちばん結婚させてあげたかった女性は、第32作『口笛を吹く寅次郎』の朋子(竹下景子)さん」という出だしで架空対談を披露。これはぜひともDVDマガジンのほうでお楽しみを。
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そして今回の目玉企画。なんとDVDマガジン誌上で山田洋次監督初となる小説が連載されることになったのだ。
小説のタイトルは『小説・寅さんの少年時代 けっこう毛だらけ』、映画では明かされていない寅さんの少年時代の物語になるとのことで……
山田監督:寅さんの少年時代から家を飛び出し行方不明になる思春期まで、そして家出中の20年を織り交ぜながら進めていこうと思っています。寅さんの家出中の辛い思い出とか、そんなこともちらっと描ければと思っています。
MC:事前に読まれた感想はいかがですか?
倍賞:子供のころの寅さんって「え?、そうだったの!! さくらはどうだったの?」とやっぱり気になりました。当時の時代を感じさせる内容でとても面白く読ませていただきました。
志らく:寅さんは全48作であり、49作目はないんですが、『スター・ウォーズ』じゃないですけど、“エピソード1”が出来るのでは? そう思いました。これは映画になりますね!
そう、ここで気になるのは『けっこう毛だらけ』の映画化! 終盤に記者からも尋ねられた山田監督、
「日本の敗戦から戦後の復興の時代を映画化するのだから、昭和20〜30年代の柴又のセットをすべて作らないといけない。なかなか難しいが、できたら素晴らしい。いちばん難しいのは、寅次郎少年を誰が演じるかということ。寅さんを彷彿とさせる、愉快でこっけいな不良少年をどのように見つけだせばよいのか……?」
とのことでした。少年時代の寅さん? たしかに……でも期待したいですよね。
その後の質疑応答の最後には、山田監督からの「“孤族”という言葉が身にしみるそんな時代を向かえ、もう一度寅さんを見返していただき、家族とはどうなっていけばよいのか、着地点は……? そんなきっかけになればいいと思っています。新作が出来るのと同じように、DVDマガジンの出版が出来ることを嬉しく思います」とのメッセージが。
そして最後のフォトセッションは寅さんのパネルを囲んで……のはずが、寅さんとさくらの見事なツーショットに……あ、これコスプレの記者さんですね(笑)。さくらに呼ばれたお兄ちゃん、完璧な出で立ちかと思いきや、「バッグが大きい、雪駄じゃないとダメ」と監督が注文を付けておりましたとさ(笑)。
★『男はつらいよ 寅さん DVDマガジン』★
発行:講談社
発売:2011年1月6日創刊(以下隔週発売・全50巻)
定価:創刊号790円(税込)、以下1590円(税込)
シネマピア:http://asobist.samplej.net/entame/cinemapia/0241.php