東京都江戸川区葛西にある着付け教室『縁〜えにし〜(きものカルチャー研究所・江戸川校に認定)』。初心者からプロ希望者まで楽しく学んでいるという教室にて、主宰者・近藤菜奈実さんに着物の魅力について話を聞いた。
★3歳から稽古を始めた日本舞踊が着付け教室の原点
4歳の初舞台で化粧をしてカツラをかぶり衣装をつけて、歌舞伎の本舞台のようなセットで演じました。それがきっかけで日本舞踊にはまっちゃいましたね。いろいろな発表の場があり、踊り初め、浴衣ざらえ、地元のイベント等にも活発に参加して、お祭りの時などは神楽で踊ったりもしました。何年かお休みしていたこともありましたけど、3歳から30歳まで、日本舞踊(藤間流)を続けました。18歳で襲名披露。最後の舞台は国立劇場でしたね。
その間に、丹波哲郎さんの俳優養成所「丹波道場」に1期生として参加し、それから劇団を立ち上げて4〜5年活動していました。その後、役者や婚礼・イベントの司会をしていました。40歳ころになると司会のランクも上がり、それに合わせてギャラも上がるけど仕事が減るという状態になって、その先の進路を考え始めていたところに、日本舞踊を習っていた時に取得した和装着付けの免許を持っていたこともあって「着物ってもっと見直されてもいいんじゃないかな?」って考えるようになり、いろいろと調べていたら同じ考えを持つ『きものカルチャー研究所』のことを知りました。講師登録ができることもあって今の着付け教室を始めることになりました。
★着物はコスプレだと思っています
もともと着物というものは、お姫様にはお姫様の衣装があり、町娘には町娘の……といった感じで、士農工商や身分といったものがわかりました。今の世の中で着物を着るということは、礼装やお洒落着に分かれるだけではなく、今日は元気で快活な感じにしようとか、おとなしいお嬢様のような感じにしようとか、着物と帯の組み合わせでいろいろなタイプの人になれたりするので、私は着物をコスプレだと思っています。着物を洋服の代わりに普段着として着るのではなく、ジーンズかスーツか? あるいはゴスロリかといった感じで「今日はイベントに行くぞー!」っといった気持ちで楽しんでほしい。
★着物をより楽しむために始めたイベント
着物は着れるけど所作がなってない。ドタバタ歩いて着崩れるとか……。着物には着物に適した所作というものがあり、それはもともと日本舞踊の綺麗に美しく動くといったところに通じていて、それをミックスしてできればと思いました。
日本舞踊のエッセンスを取り入れた所作教室も始め、その後、踊れて素敵に動ける日本舞踊をメインにした発表会を開催しました。しかし、教室には日本舞踊にあまりなじみのない若い人や、見ていると素敵だと感じても、いざ自分が演じる側にたつと難しくてできない。長唄、清元、常磐津も歌詞がわからないっといった感じで、次につながらなかった。
でも、クリスマス・忘年会シーズンになると「なにか着物を着て面白いことをしようよ」という話がでてきて「なんだ〜!コスプレ(着物)だけなら、みんなやりたいんだ!」ってことがわかったんですよ。役者をしていたころ本番後に仲間と歌謡舞踊をやっていたことがありまして、あれなら歌謡曲だから歌っている内容もわかりやすいし、楽しいんじゃないかなってことで、コスプレと歌謡舞踊のショーを開催することになりました。それが、前回取材していただいたイベントです(写真参照)。たいへん好評だったので、これからは年に2〜3回は開催したいですね。今後は教室の方だけではなく、一般の方も参加出来る参加型のイベントにしていきたいですね。歌謡曲でみんなが知っていそうな昭和40〜50年代ころのコテコテの曲がイイかなって……。若い人には逆に新鮮みたいです。今回は、「殿様キングス」の曲を選んだんですけど、面白い曲ですねって評判が良かったんですよ。
真面目なことばかりでは楽しくないので、着付け教室のイベントですから着物は着ますけど、後は自由な発想でいいんじゃないかなって思います。
★若い人には気軽に楽しんでいただきたい
今はポリエステルもあるし、リサイクルショップもあって着物の値段は様々ですね。洋服と同じ感覚で買えるものもあります。柄も刺繍ではなくプリントなどは安価で買えますね。
昔は親から教わって着物を着ることができましたけど、今は親も着ることができない。今の若い人はほとんどが着たことがないから、成人式の時に着付ける人が着崩れないように“ギューギュー”と縛るのでそれで嫌いになる人もいます。“ギューギュー”されないためにも着付けの体験をしておけばいいんですけどね。こうして着れば痛くない、苦しくないといった感じで簡単なことなんですよ。ちょっとコツがわかれば難しくないんです。浴衣や着物を着られるようになったら面白いですよ。若い人にはもっと気軽に着物を楽しんでいただきたいですね。
第2回・縁の会『ざ★着物ショータイム』より
プロフィール
近藤菜奈実(Nanami Kondo)
東京生まれ、東京育ち。
1級着付け講師、着物コンサルタント、1級着物コーディネート、舞踊・藤間流名取り。
きものカルチャー研究所・教室開校(H15年)、教授認定(H18年)、校長認定(H20年)
H22年より、着物マナーや着物での立ち居振る舞いをメインにした「所作教室」をスタート。
これまでの実績は、認定校となって10年目、プロ認定者は34人、そのうち10人は独立開業。
3歳からの日本舞踊の経験をベースに、着物を着る+美しい立ち居振る舞いもアドバイス。
様々な経験&長年の着物人生から、個人・個性に合わせたコーディネートをアドバイス。
★あなたと着物を結ぶ・・・縁〜えにし〜
染匠株式会社・きものカルチャー研究所・江戸川校に認定
もっと気軽に楽しく、着付けを習いたい。
http://www.enici.com/
★着物マナー&立ち居振る舞い教室・・・縁〜えにし〜
着物での「姿勢、歩き方、写真ポーズ」をお稽古します。
http://www.syosa.com/post-3.php