第92回 洋楽編 BON JOVI――いよいよ来日! やっぱ寂しく、でも貴重。そんなライヴになる予感

さーて、今回は来日公演が来週に迫った BON JOVIです! 音楽総研をずっと読んで下さっている方は、俺がBON JOVIに並外れた愛情を持っているのをご存知でしょう。ご存知ない方はこれを機に覚えておいて下さい(笑)。記念すべき第一回目もBON JOVIだったし、それ以降も折に触れ登場させています……が、自己紹介も兼ねてたり、ライヴレポートだったりして、BON JOVIそのものについてはあまり踏み込んでないような気がしてたから、いつかじっくりと書きたいと思っていたのですよ。


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BON JOVI はアメリカ、ニュージャージーでジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)を中心に結成され、1984年にデビュー。アレック・ジョン・サッチ(B)が脱退した以外は、現在もオリジナルメンバーで活動を続けています。哀愁を帯びた日本人受けするメロディアスな楽曲と、アイドル性もあるルックスで本国より先にここ日本で人気に火が付きました。可愛いといってもいい見た目や、ちょっと垢抜けない楽曲(そこが良かったんだけど)のせいか、コアなロックファンにはナメられていたのは以前書いた通り。最近はそういう見方をする人も減ったと思うんだけどね。


『Because We Can』
最新作からのシングル。ライヴへ行く皆さん、これ歌わされそうですよ

ハードロックバンドとしてデビューしたBON JOVIだけど、桁違いの成功を収めた今となっては、もうその範疇を超えて単に"ロックバンド"として認識されていると思う。彼らが他のHR/HMバンドよりも大きく成功したのは、曲が良かったのは当然として、歌が中心のバンドだったからだと考えています。ほとんどのHR/HMバンドは、ギターのリフを繋ぎ合わせてその上に歌のメロディを載せるから、実はギターのリフこそが楽曲の中心だ、ということが多い。これ、良い悪いじゃなくて、一般受けするかどうか、ね。それがHR /HMの魅力だし、もちろん、そこに最高の歌が乗っているバンドがたくさんいる。

BON JOVIはギターよりも歌の比重が圧倒的に大きくて、それがハードロック度の低さに繋がるとも言えるんだけど、例えば『Livin’ On A Prayer  』や『You Give Love A Bad Name  』なんかは、リフよりもメロディが先だったんじゃないかな(『Wanted Dead Or Alive  』はギターが先だと思う)。Aメロはともかく、サビのコード進行はギターが先だとは思えないんだよね。メロディに沿ってつけたコードっぽい。HR/HMって、テクニカルなリフやアレンジが多くても、サビがイントロと同じリフだったりして、曲の作りそのものや使われてるコードは意外とシンプルだったりするんだけど、BON JOVIの曲にはHR/HMじゃあまり使われない歌モノっぽいコードも出てくるし、イントロと同じリフがサビにも使われたりするのは初期の曲ぐらい。歌のメロディありきで、ギターリフも含めたアレンジはあくまで歌を聴かせることが重視されている……と思う。だからこそHR/HMの枠を越えて、一般的な音楽ファンに受け入れられたのでは。


『In These Arms』
ikkieのフェイヴァリット! やってくれるかなあ。そしてジョンは、ハイトーンが出るのか?!
で、この曲はメロディから書いたと思うんだけど……

HR/HMバンドはギタリストが曲を書くことが多くて、普通はどうしてもギター中心になってしまう。BON JOVIの場合は、ジョンとギタリストのリッチー・サンボラが中心になって曲を書いているんだけど、リッチーは単にコーラスが出来るんじゃなくて、ソロシンガーとしてやっていけるほど歌えるギタリスト。これは大きいよ。ギター中心に書けるのは当然として、歌中心にも書ける人がもう一人バンドにいるわけだからね。言うまでもなく、ジョンの存在があってこそのBON JOVIだけど、リッチーがいなかったら、もっとジョンのソロっぽいバンドになっていたんじゃないかなあ。もちろんティコ・トーレスのスケールのデカいドラムや、デイヴィッド・ブライアンのこれぞBON JOVI! というキーボードだって重要だよ。

そのリッチーが現在、ツアーに参加していない。プライベートな理由で、とツアーの途中で離脱してしまった。最近のインタヴューによると、ツアーに出ていると娘との時間が取れないということが理由で、バンドとの間に問題はなく、時期が来れば戻るとのことだけど、今回の来日公演は無理だろう。骨折してても日本には来てくれたのに! なんて言っちゃ悪いかな。リッチーのギターが聴こえないBON JOVIなんて想像も出来ない。リッチーのコーラスも大きな魅力だし、リッチーがリードヴォーカルを取る曲も楽しみの一つ。しょっちゅう観られるアメリカのファンとは違って、3年ぶりにようやくライヴが観られるのになあ。でも、ストレスを溜めて脱退してしまうよりはいいか……。


『Livin’ On A Prayer/Wanted Dead Or Alive』
リッチーのコーラスが聴けないなんて……(涙)。
ちなみにこのパフォーマンスを観たMTVのプロデューサーが、
一大ブームになった例のアンプラグドを企画したそうです

今回の東京公演はなんと日本での100本目のライヴで、そんな記念公演にリッチーがいないのは寂しいけど、リッチーがいないBON JOVIを観られるのはある意味貴重だし、なんだかんだ言ってもやっぱり楽しみだね! 

……で、まだ書き足りないぞ。