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ようやく暖かくなってきたと思ったら雪が降ったり……、春はいつになったらやってくるのでしょうかねえ。さて、今回のお題はまさかの「METALLICA」です！　編集部からのメールを見たときは、自分の目を疑いましたよ、ええ。大メジャーのアーティストが続いていたし……。METALLICAも大メジャーには違いないけど、ちょっと種類が違うというかね。もちろん、いつかは書きたいと思っていたので大歓迎なんですけど、このバンドもマニアが多いんですよねえ。彼らのファンではありますけど、マニアではないワタクシから見たMETALLICAってことで大目に見てくださいね（最初から言い訳）。

METALLICAは、初期のころはスラッシュメタルとして語られることが多かったと思うけど、今となってはもう、そういう細かいジャンル分けは不要になっていて、もはや、ヘヴィメタル（HM）の代名詞と言ってもいい存在なんじゃないかなあ。HMといえばMETALLICA、という人も多いはず。あ、スラッシュメタルというのは、HMの中でも特に過激なものと思って間違いないです（なんてざっくり）。
METALLICAは、そのスラッシュメタルというジャンルを作ったバンドのひとつと言っていいと思うんだけど、現在はその狭いジャンルを飛び出して、HMどころかロック界でも随一のモンスターバンドになりました。

俺が初めてMETALLICAを聴いたのは中学のころ。「JUDAS PRIEST 」や「IRON MAIDEN 」なんかの、いわゆる「正統派」のHMバンドでヘヴィな音楽に慣れていたはずの俺の耳にも、METALLICAの音楽はかなり過激で異質なものに感じました。ファーストアルバム（『Kill ‘Em All 』）を初めて聴いたときはびっくりしたし、ちょっと笑っちゃったぐらい。
それまでに聴いたどのバンドより激しくて、とにかくテンポが速くて、早送りしているかのような演奏だったんだもの。そして、それが俺には、速ければいいとか、過激ならいいと思っているかのような単純なものに感じられて、実はあんまりピンと来なかった。多くのHMバンドがハードロックをよりヘヴィにしたように感じたのに対し、METALLICAはパンクをヘヴィにしたような感じがしたし……。俺はパンクが苦手だったので、そう感じちゃうと、もうNGでした。まあ、今は、METALLAICAが様々なHMバンドから影響を受けているのを知っているし、ファーストアルバムの音からも感じられるけど、当時はそんなことは分からず、HMってよりもハードコアパンクみたいだ、とか思っていたかも。

ところがしばらくして、サードアルバム『Master Of Puppets 』を聴いたら、違うバンドかと思うような有無を言わさぬ迫力で、これは凄い！と、びっくりしました。HMならではのアグレッションを体現したバンド全体の勢い、畳み掛けるようにリフを連発するギター、プログレにも通じるようなドラマティックな曲展開……。平坦に感じたジェイムズ・ヘットフィールドの歌声も格段に表現力を増していたし、もう、どこをとっても「これぞHM！」という魅力が満載で、カッコいいのなんのって。いわゆる正統派のサウンドとは違うけど、そのうちこんなサウンドが主流になるんじゃないか……みたいなことを思った覚えがあります。小僧が何を偉そうに、って感じだけど（笑）。でもね、ほんとにびっくりしてね。こんなに凄いバンドだったのかと、その時に初めて気がついた次第でございます。

それは世間の皆さんも同じだったのか、それまではアンダーグラウンドなバンドだったのが、このアルバム以降、一気に世界的なバンドになっていくんだよね。そして、HM界どころか、ロック界の流行を左右するような存在にもなりました。
いろんなバンドがこぞってMETALLICAと同じプロデューサーを使ったり、METALLICAがスピードではなく、重さやグルーヴを重視するようになると、他のバンドも真似してみたりね。正直なところ、一時期は似たような音が増えて食傷気味でした。まあ、それぐらい影響力が大きかったってことです。そして、俺の予想も間違いではなかった、と（笑）。

俺がひとつMETALLICAに感じている特徴というのが、モンスターバンドでありながら、メンバーがファン気質を持ち続けているということ。本人たちのことは直接知らないけど（笑）、インタビュー記事や、カヴァーソングの選び方なんかにそれを感じます。
ファン気質を持っているということは、自分たちのファンが何を望んでいるかがわかるということでもあって、ファンとの間にも信頼関係があるように思います。もちろん予定調和のバンドではないし、ファンが驚くようなことも何度もあったけど、それでもMETALLICAは俺たちを裏切らないってことを信じてるんじゃないかな。それって凄いし、カッコいいよね。