英国という国とその言葉の響きに対して、憧れとしか言いようのない気持ちを持つようになったのはいつごろからだったろう? 理由ははっきりしてるんだけど。ビートルズをはじめとする偉大なアーティストの存在と、そのアーティストたちを育んだ大英帝国。もちろんアメリカのアーティストに対してだって尊敬の念も憧れも抱いているけど、英国そのものや、アーティストに対する気持ちとはちょっと種類が違うような気がしています。さて、今回はその英国の国民的バンド「QUEEN」を紹介します! 女王なんて名前も英国ならではだね。
QUEENはジャンルでくくれない幅広くユニークな音楽性と高い演奏力を誇り、世界でもっとも売れたアーティストのひとつにも挙げられているバンド。メンバーそれぞれが個性的なこともよく知られていますよね。俺が初めて聴いたのは小学生のころだったかなあ。で、フレディ・マーキュリーの強烈なルックスにびっくり……、最初は色物っぽく見てました(苦笑)。なんだか気品を感じる楽曲も、子供だった俺には少しハードルが高かったかも。
ところが、85年に行なわれた「ライヴエイド」を観て、俺のQUEENに対する認識はひっくり返ります。そのころ夢中だった「DURAN DURAN」なんかのアーティスト見たさに、眠い目をこすって観たライヴエイド。
他にも「LED ZEPPELIN」や「THE WHO」の再結成なんていう今なら大騒ぎする事件もあったけど、子供だった俺はそれがどんなに凄いことなのか分かっていなかったし、正直言って演奏自体もあまり良くなかったと今でも思います(苦笑)。
でも、同じくバンドの歴史も偉大さも知らずに観たQUEENの力強いパフォーマンスは、子供の俺にも充分過ぎるほど魅力的だった! 嘘みたいに凄いフレディのヴォーカル、ドラマティック過ぎる演奏。鉄板セットリスト、『We Will Rock You』からの『We Are the Champions』に痺れない人なんているの? この驚異的なライヴは、ライヴが中継された世界中から大反響を呼び、実は解散の危機にあったQUEENのメンバーも、後に「ライヴエイドがなければ解散していたかも」と言っています。そして、すっかりQUEENに魅了された俺は、例のごとく遡って聴きだすわけですよ。なんて勉強熱心なんだろう、子供のころの俺(笑)。
とりあえずは前出の二曲が入った『世界に捧ぐ』と、子供の俺でも名前は知っていた『オペラ座の夜』を借りて聴いてみたんだけど、目当ての『We 〜』の二曲よりも、『Bohemian Rhapsody』一曲に、より感動させられました。皆さんも一度ぐらいは耳にしたことがあるんじゃないかな? QUEENってどんなバンド? と聞かれたなら、まずこの曲を聴け! というほどの代表曲かつ、間違いなくロック史上に残る永遠の名曲です。重厚なハーモニーから始まり、殺人を告白する衝撃的な歌詞が乗った哀しくも美しい歌声とピアノに続く。それを叙情的に盛り上げるバンド。
そして「ママミア、ママミア」と突然のオペラパートで異次元に連れて行かれたかと思うと、そこにハードロック然としたギター・リフが登場、さらに爆発的に盛り上がったあと、余韻を残しつつしっとりと曲が終わる……ここまで素晴らしく完璧なアレンジが施されたロック・ソングが他にあるだろうか? いーや、無い。
アルバム単位で言うとね、さらに遡って聴いた『QUEEN II』が俺のお気に入りで、皆さんにもこれを聴いて! と太鼓判を押しますけど、とりあえずは『Bohemian Rhapsody』をまだ聴いたことが無い人は、この曲から聴いてみるのも大正解。ただね、QUEENの魅力を一曲に凝縮し過ぎなので、お腹いっぱいになる人もいるかもしれません(笑)。もちろん、シンプルで良い曲もたくさんあるから、大仰な曲が苦手な人は『世界に捧ぐ』とかがいいかも。
そして、少しでも気に入ったならさらに奥深いQUEENの世界へようこそ! です。オペラからファンク、ハードロックまで……ビートルズやツェッペリンにも負けない幅広い音楽性、英国のバンドらしい気品に満ちた魅力的な楽曲たちが貴方を待っています(笑)。
さて、最後に俺にとってとても特別な曲をご紹介。『The Show Must Go On』……。ショウは続いていく、ショウを続けなくちゃ……といった意味かな。さほど歌詞を意識せずに聴いたときも、良い曲だとは思っていたけど、フレディが亡くなってしまった今、この歌の凄まじさに驚愕せざるをえない。フレディがこの曲をレコーディングした時には、自分の死期を知っていたそう。
そしてこの歌だ。今までのどの曲にだって負けない圧倒的な歌声は、病魔に冒されているなんて、微塵も感じさせない。「僕は笑顔で立ち向かう 決して屈しない ショウは続いていくんだ」どれほどの覚悟で歌を歌い、人生を生きた人なんだろう……。