※まずはお知らせ!
この8月にグループ展を開催します。詳細は文末をご覧ください……
今朝仕事場へ向かって歩いていると、路上にお腹を白く変色させたセミが転がっていた。早いなぁ。まだ7月ですよ。先日も知人が
「よく『もう7月なのに蝉が鳴かないのは異常だ』という人がいるけど『蝉時雨』は8月ですから!」
とツイッターで叫んでいたけれど、もうすでにミンミン(ミンミンゼミ)もジージー(アブラゼミ)も鳴いています。かろうじてヒグラシとツクツクホウシがまだ鳴いていないくらいでもう「大暑」も過ぎたことだし「盛夏」と言って過言ではありますまい。
夏休みも始まったしね。全国でいろんなセミが小学生に捕獲されることでしょう。数年の時を経て地上へ脱出、やれ「嬉や」とばかりに鳴いている「セミ受難の季節」でもありましょうか。
さて、セミ収集ばかりでない、全国小学生が頭を悩ませる「自由研究」の課題。その一助ともなりますか、地方「珍みやげ研究」の話題。今回は前回の「ハイ・ブリッドについて考える」を受けて、「鰹のタタキ ドロップス」の正体であります。
今回は「ゴーヤーのナンプラー炒め」。レシピは下をどうぞ。
同じ原料の“魚醤”なのに名前が違う「ナンプラー」と「ニョクマム」の違いも書いてありますよ。
前回をお読みでない方のために今一度写真を見ていただきます。
こういうパッケージだ。「高知 コウチ 鰹のタタキ風 ドロップス」とある。
なにやら怖ろしげな味がしそうで怖がって食べていなかったそのパッケージをしげしげと眺めてみると詳細の表記はこうである。
鰹のタタキ風ドロップス
名 称:キャンディー
原材料名:砂糖、水飴、食塩、香料、紫コーン、色素、カラメル色素
(原材料の一部にサケ、大豆を含む)
ここで、まずはこのタタキ「風」というところを斟酌(しんしゃく)しなければいけなかったのだが、この時はまだ気づかない。原材料の中に「鰹」の一文字がなかったことを見て
「ははぁ、つまりこれはその飴の『形状』が『鰹のタタキ風』なのであるな」
と「いい方」に解釈したのである。しかるに固定されたテープをハガしてみると……
ややや?(今風に言うと「じぇじぇじぇ?」) 穴は丸いのである。さては
「鰹のタタキを小さくしたようなカワイイ飴であるか?」
と再びさらによい方向へ解釈。しかし! 缶からころがり出た飴は
やややややや!?(今風に言うと「じぇじぇじぇじぇじぇ?」<もういい)
飴も丸いのである。
やにわに食べてみる。甘い。そして微かな塩味のむこうに魚の香りがする。
別にまずくはないですね。原材料名からもわかるとおり、危惧していたような「ニンニク・生姜・醤油・鰹」の要素は何もない。ちょっと塩気のある飴だ。魚の香りは察するに「原材料の一部」に含まれた「サケ」から来るものにちがいない。
なるほどねー。知らないで食べたら「ちょっと魚風味の変わった味の飴」くらいで納得していたことであろう。
しかし。ちょっと待て。
よく見てみると販売しているのは北海道の会社である。加えて製造しているのは山梨の会社である。すなわち高知とはなんの関わりもないのである。それをして「高知 鰹のタタキ」として販売するのは如何なものか。そこに「風(ふう)」の意味がすべて集約されていたということであるか。
たしかに「風」と書いてある同じようなことは日本全国で繰り返されているのであろうこと、容易に想像できる現実。
つまりですね。飴の形状が「鰹のタタキ」を模したものでもなく、原材料に鰹が入っているわけでもないこの飴。たとえばパッケージを替えて
「北海道サケのチャンチャン焼き『風』ドロップス」
あるいは
「小田原名物 鰺の開き『風』ドロップス」
として販売したとしても何も問題はないわけですよ。いや、実際に売られているかもしれないのでありますね。
やられちゃったな。これをして「ハイ・ブリッド」と喝破したつもりになっていたワタクシが甘かった。おそるべし日本の「ご当地みやげもの業界」。「おみやげシェア」をめぐっての繰り広げられているであろう熾烈な争いを垣間見た気持ちになったしだいであります。
いや、異なる複数の「要素(観光地)」を組み合わせてひとつの「目的(売り上げ)」のために作ったと考えればこれもまた「ハイ・ブリッド」の一種といえないこともないのかもしれないのかもしれない(クドイ)。
しかしねー、原材料がそうだったとしても、ですよ。せめて形状をあの「鰹タタキの切り身」にしよう、くらいの「遊び心」っていうか「真摯な気持ち」にはなりませんでしたかね。
そうすれば、仮にこの原材料名に「鰹」の一文字がなかろうと、ましてや生産者名の住所に「高知」の地名がなかろうと、あの真ん中が赤くて周囲が焦げ茶色になった「飴」をひと目見て納得し、微笑みを浮かべながら口にしていたであろうこと、しかもなんの文句も言わず、むしろ「面白い」と言ったのではなかったか、と思うんであります。
しかるにこういう「マジメな遊び心」を持たず、「製品を流用」して売れば「一粒で二度(三度、四度)おいしい」、つまり「売り上げ効率」ばかりを目指していると、その先にはあまりよろしくないこと
が待っているのではないか、と感じるんでありますね。
「人を遊ばせる」、あるいは「人に遊んでもらう」施設を運営する人達が「遊ぶ心」を知らず持たず、「売り上げ」ばかりを重視してどうするか。
「観光客なんてリピーターになるわけじゃなし、その場限りだから売れればいい」というなら、それはまるで投資家が買った株の会社を信じて買ったわけではなく、ただひたすら「儲け」を出すために「売り抜ける」のと同様なのではないか。
なにやらそんな今の日本を覆っている「空気」みたいなものを見せられてしまったような気分もあり、あるいは「まけるもんか」と気合いを入れるきっかけにもなったわけで、いささかトートツではありますが、かの金井美恵子女史の「夜になっても遊びつづけろ」を読んだ若い日の気持ちも思い出されて、チョイとばかり気勢を上げたという結末。
すなわち今回は「ハイ・ブリッド」の「正体見たり枯れ尾花」なお話。
夏休みで方々へ帰省される皆様におかれましては、帰省先でのこんな「珍品ネタ」ありましたらぜひご一報いただき、みんなで笑うネタにいたしたく、ご報告はこちらまで→<writer@asobist.com>。楽しいお便りをお待ちしております。
というわけで今回のかんたんレシピは「ゴーヤーのナンプラー炒め」。今が盛りのゴーヤーをナンプラーで炒めるだけ、というごくごく簡単な一品。
でもね、すごく旨いですよ。生(き)のナンプラーで強く感じる生臭さは炒めることでほとんど飛んでしまい、むしろ魚の「ダシ(つまり旨み成分)」が引き出されるという、楽しい「じぇじぇじぇ」が出る一皿です。ぜひお試しを。
1.ゴーヤーは縦半分に切って種とわたを取ります
2.2mmていどに薄くスライスします
3.フライパンに適宜サラダオイルを入れて火をつけゴーヤーを入れます
4.ゴーヤーがややしんなりしてきたらナンプラーを入れて火を細めます
5.菜箸で焦げ付かないようにじっくり炒めていきます
味を見て塩気が足りなければナンプラーを足します
6.ゴーヤーのシャキシャキ感が無くならぬうちに火を止めて完成
ところで「ナンプラー」。「ニョクマム」と同じかと思っていたら別物だそうですね。
両方ともアンチョビを使って作られるそうですが、「ニョクマム」はベトナムで「ナンプラー」はタイ産だとか。
そういえばこの二つを使い分けたことってなかったな。こないだ上野アメ横のタイ物産店で買ったのは「ナンプラー」だから今度「ニョクマム」を探してみようっと。
と、今回は軽くこの辺で。次回は8/13更新の予定です。
【Panjaめも】
●グループ展を行ないます……って個人的な告知(笑)。
【Panjaめも】の下にご注目ください
●コレは楽しい
カーソルを合わせるだけでセミの声が聞こえるサイト
●ニョクマムとナンプラー(Wikiですが)
「魚醤」
●夜になっても遊びつづけろ (金井美恵子・著)
今は手元にないけれど大学生のころに読んでかなり感化された一冊。
再版されるんですね。欲しいなぁ。
●私、あの「まぐまぐ」でメールマガジンを始めました
「モリモト・パンジャのおいしい遊び」
こちらでサンプル版もご覧になれます。
登録申込当月分の1カ月は無料でお読みいただけますので、どうぞよろしゅう
【おしらせ】
来る8月8日〜8月11日の5日間、
西荻窪「ギャラリー・ムーラン」にて開催される
グループ展「Katz Pet Pan」に参加いたします。
今回の展示は「ペコポン村」という企画のキャラクター展開。
どこかで見たような会ったような、夢だけにしか
出てこなかったのに忘れられない妙竹林な人々が
皆様をお待ちしております。
<ギャラリー・ムーラン>
中央線・総武線 西荻窪下車 北口から徒歩2分
杉並区西荻北3-21-2徳田ビル1F
シンガポール料理「夢飯Mu-Hung」併設
8日〜10日:13:00〜20:00
最終日11日:13:00〜18:00
わたくしパンジャも可能な限り在廊するようにいたします。
みなさまお誘い合わせの上ぜひお越しください。