関東エリアのInterFMで放送していた「バラカン・モーニング」が終わってしまったので、平日の朝にラジオをつけることはずいぶん減ってしまったけれど、日曜日になると朝から同局の放送を聴いている。9時から始まる「レイジー・サンデー」という番組がそれで、日本語の駄洒落ばかり言うジョージ・カックルという妙なアメリカンDJが、主に70年代のアメリカ・ウエストコーストのロックを中心に選曲をしているプログラム。この番組が好みに合うのはたぶん彼が僕と同世代なのと、アメリカンのくせに駄洒落を乱発するせいかもしれないですね。駄洒落、キライだけど好きなんです。近くで迷惑している方々、すいません。国境を越えたこの年代の特徴です。
さて、この番組内コーナーのひとつに「ロックンロール・イングリッシュ」というコーナーがあります。ロックの歌詞に出てくる「直訳では伝わりにくいフレーズ」をネイティブの視点から解説してくれる企画で、一昨日(4/22)の放送でもザ・バンドの「Up On Cripple Creek」という曲に出てくる「Spring A Leak」という語句を解説していて、これもたいへん勉強になった。これ「(湧)水が漏れる」ってだけじゃなくて「(人が)壊れちゃう」みたいな意味があるんだそうですね。
If I Spring A Leak, She Mends Me
(酔っぱらって)壊れちゃっても彼女が面倒見てくれる
なんて意味らしい。ぜんぜん知りませんでした(「酔っぱらって」という風に解釈したのはこのあとにDrunkard’s dreamという言葉が出てくるからで、間違っていたらごめんなさい)。
加えて僕が愛読する「レコード・コレクターズ」という雑誌でもこの人は「アメリカン・ロック・リリック・ランドスケイプ」という連載を持っていて、やはりロックの歌詞を(こちらは駄洒落なしでマジメに)解説している。これも毎月楽しみに読んでいるんだけど、なかなか興味深いことが書かれていてためになります。
たとえば2011年3月号ではイーグルスの「テキーラ・サンライズ」という曲の解説をしていて、ずっと僕はこれを歌詞も読まずに勝手に単なる「お酒の唄」だと思っていたんだけれど、あれは親友を裏切ってしまったことに対する後悔の念を強い酒(=テキーラ)で紛らわそうとする話で、そんな気持ちで見る砂漠に昇る朝陽の色がまるで「テキーラ・サンライズ」のようだ、という唄なんだとか。これも初めて知ったことでした。
ところでこういう文章を読んだり話を聞くたびに「音楽と酒というのは切っても切れない深いつながりがある」ということを毎度あらためて確認するわけだけど、この「呑みながら聴く音楽に何を選ぶか」、というのも「この酒にどのツマミを合わせるか」、「このライブの後に何を呑むか」などという大問題に似て、非常にむつかしいテーマでもあるんですね。
つまり料理で言う「コレにコレが合うか!」という驚きや「あ〜、これは焼酎のツマミにはならんわ」、などという発見が音楽にも同じようにあるわけで、先日もあまり聴かないCDの処分をするべく、棚の奥で眠っていたディスクを引っ張りだして日本酒を傾けつつ、次から次へとトレイに乗せていると、いろいろな発見があったのでした。
すなわち「意外にランバダは日本酒に合う」、あるいは「環境音楽(ウイン●ム・ヒル)は晩春の本醸造には合わない」、はたまた「ザディコ(*注)と焼酎は好相性(コレはある意味アタリマエか)」などなどで、あるいは「季節によってはJamesBrown 御大も特別本醸造の燗に合ったりして!?」なんていう新しい発想にもつながりました。
けっきょく処分するCDがそんなに出なかったのが困ったことで、またスペースを探さねば、とボンヤリ自室の様子を頭に浮かべながら盃をかたむけるばかりだったのは別の話。
そんな夜はまだ季節の定まらぬこととて風邪をひいてしまった妻のために作った「高タンパク・低カロリー」の「鶏ササミとキュウリの和え物」。キュウリ、体の熱を取るのにいいそうですね。もちろんモクモクと食べる彼女を目の前にして、僕はそれをアテに甲類焼酎を飲んだわけで、妻よスマン、ってことでまた次回。
【Panjaめも】
●この日聴いたのは「Doug Legacy with The Zydeco Party Band / King CakeParty’」
久しぶりに聴いたら元気が出ていいわー。
(*)ザディコとは……(wikipediaですが)
●ジョージ・カックルさん「レイジー・サンデー」HP
よく見たら僕よりひとつ年下だったんですね。げっ!(汗)
お母様が日本人、というハーフだそうです