地獄の変異

ルーマニアの山脈奥深く、永らく封印されていた巨大洞穴が発見された。ぬらぬらとした岩肌を進んで行く探険家一行には、この後に待ち受けている惨事など予想だにしなかった…。

舞台が洞穴であることから、スクリーンの多くは暗闇に飲み込まれている。『GODZILLA ゴジラ』(98)、『アイ、ロボット』(04)、『サイレントヒル』(06)など多くのクリーチャー・デザインを手がけたスタッフにより作られた「元・人間」の地底人の姿は、画面の暗さゆえ明確にその姿を確認することはできない。だが、見えないことによる恐怖を引き出すことには成功しており、何が何だか訳がわからないがとにかく怖い、という心理状態に陥りたい気分にはうってつけだ。幽霊にせよ呪いにせよ何にせよ、正体がはっきりしないものはとにかく怖い。良質なホラー映画を見たあとに風呂になんぞ入ると、シャンプーをしているときに後ろに何かいたら怖いものだから、一生懸命目を開けて頭をゴシゴシしたりする。テレビのCMか何かのように。鏡に何か映ったりしないよう、とにかく目を開けていたいのだ。

いつ何時、どこから何が襲ってくるかわかならい状態、しかもそれが暗闇での出来事、更には相手が得体の知れないクリーチャーとくれば、否応なしに怖さがこみ上げてくる。私なんか、たとえ怪物がいなくても「暗闇」の「洞穴」にいるだけで、恐怖で気が狂いそうになるだろう。…そうです、私はヘタレです。

とか言いつつ、大の大人がこぞって水面に顔だけ出しているシーンに、ついついニヤニヤしてしまう不謹慎な私でもあります。変なところに反応しちゃってゴメンナサイ。

地獄の変異(Blu-ray)
監督:ブルース・ハント
出演:パイパー・ペラーポ/コール・ハウザー/モリス・チェス
ジャンル:洋画