国を救うために独自のアイデアで暗号解読に取り組んだ天才数学者。だがその任務は極秘中の極秘であり、多くの命を救ったにも関わらず、誰も彼の偉業を知る者はいなかった――。今、世界でもっとも注目されている唯一無二の個性派俳優ベネディクト・カンバーバッチを主役に迎え、悲しくも崇高な人間ドラマで織りなされる本作。本年度アカデミー賞には作品賞を含む8部門にノミネートされ、脚色賞を受賞。英国政府が50年以上隠し続けた、驚愕と感動のトゥルー・ストーリーだ。
第二次世界大戦真っただ中のイギリス。ケンブリッジ大学の特別研究員であり、天才数学者の異名を取るアラン・チューリング。27歳の若さでありながらその実力を買われ、ドイツ軍の暗号エニグマ解読の機密作戦に抜擢。だがその天才的能力と引き換えに、彼は他者とのコミュニケーションを苦手としていた。早くも他のチーム員との軋轢が生じることとなったチューリングだったが……。
アカデミー賞ノミネート作といえば、例年、実在の人物を題材にした作品が名を連ねることが多い。直近の作品賞受賞作では『それでも夜は明ける』、『アルゴ』、『英国王のスピーチ』、今年の主演男優賞 ノミネートは『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』以外すべて実在の人物だ(『バードマン』も限りなくマイケル・キートン自身に近いのだが)。本作もまた実話をもとにしており、作品賞と主演男優賞を含む計8部門にノミネート。結果は惜しくも脚色賞のみの受賞となった。
数奇な運命を辿った数学者の偉業を緻密に描きながらも、人とは違う彼の人生――それも、ここまでの偉業を成し遂げた“光”の側面があるにも関わらず、個人としては“影”の道を歩まざるを得なかった彼の人格にスポットを当てることで、彼の救いようのない悲しみを描き出している。飄々としたその「変人」を、カンバーバッチは時にシリアスに、時にコミカルに、実に自然体で演じている。だからこそ、ラストで彼の人生の顛末と、我々人類に彼が残してくれたあるものを明かされたとき、そのあまりにも激しい落差におののき、あふれ出るふいの涙を禁じ得なくなってしまうのだ。
監督:モルテン・ティルドゥム
脚本:グレアム・ムーア
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、チャールズ・ダンス、マーク・ストロング、マシュー・グード、ロリー・キニア、アレン・リーチ、マシュー・ビアード
配給: ギャガ
公開: 3月13日(金)、TOHOシネマズ みゆき座他全国ロードショー
公式サイト:http://imitationgame.gaga.ne.jp
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