人間の欲望と理性が交差するアクションサスペンス大作。
全国民から命を狙われることになったクズ≪凶悪犯≫の移送という任務に徹する警視庁警備部SP銘苅一基(めかりかずき)を演じるのは『JIN-仁 』で高視聴率を記録した国民的人気と知名度、さらに実力を兼ね備えた大沢たかお。プロとして一流の能力を誇るSP白岩篤子(しらいわあつこ)には、こちらも『家政婦のミタ 』で高視聴率を記録した松嶋菜々子。本作のために髪を切り、今までのイメージを覆す激しいアクションにも挑んでいる。そして、クズ=連続暴行殺人犯・清丸国秀(きよまるくにひで)に『デスノート 』、『カイジ 』、『インシテミル 』と数々の大ヒット映画の主演を務める藤原竜也が挑む。さらに岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、山崎努と豪華個性派俳優が顔を揃えた。
世の中に衝撃を与える本作のメガホンをとるのは、海外でも熱い支持を得ている奇才・三池崇史。撮影は愛知、三重を中心に、オールロケを敢行。さらに、国内では不可能な新幹線での撮影を、日本映画史上初となる台湾新幹線を使用して行なうなど、すべてが破格のスケールで進行された。
「この男を殺してください。御礼に10億円差し上げます。」
前代未聞の新聞全面広告に、日本中が揺れた! 広告主は巨額の資産を持つ財界の大物・蜷川。幼い孫娘を惨殺した男、清丸の首に懸賞金を懸けたのだった。命の危険を感じた清丸は、潜伏先の福岡で出頭する。全国民の殺意が向けられる中、48時間以内に清丸の身柄を警視庁に移送するため、5人のSPと刑事が選ばれた。護衛対象は“人間のクズ”。命懸けの移送が始まる……。一般市民、警察官、機動隊員までもが執拗に命を狙ってくる。見えない暗殺者から逃げるため、護送車、救急車、新幹線と次々と移動手段を変えても、なぜか、ネット上の“キヨマルサイト”には移送チームの居場所が更新されてしまう。
いつ? 誰が? 何処から襲い掛かってくるか分からない、誰が裏切り者かわからない極限の緊張状態が続く……。
はたして、人間のクズを命懸けで守る事に価値はあるのか? それが“正義”なのか?SPチームは無事に清丸を警視庁に移送することが出来るのか? 物語は誰も予測出来ない衝撃のクライマックスを迎える!
人が人を殺すということ……。それが、善であれ悪であれ、合法であれ違法であれ、おそらくこの映画を観る人によって考え方は千差万別であり、どこにも答えはないのであろう……。SPといえば多くの映画がスーパーヒーローといったイメージでその活躍ぶりを描くが、この作品では生身のリアルな人間が描かれている。“人間のクズ”と10億円によって人の心は変わってゆく。人間の心に最後に残されるものはプライドなのか? 次々と起こる出来事に、自問自答を繰り返す作品である。
予告編を観ると、アクションシーンばかりが取り上げられているが、この作品の見どころは、なんといっても出演者の演技にある。なかでも三池監督に“人間のクズ”を演じさせれば世界一とまで言わせた、藤原の演技は要注目だ。彼の暴れたり、凄んだりするシーンより、なにもしない時の瞳に恐怖を感じる。そして、伊武雅刀の渋い演技は、いちばん印象深かった。そして、この映画のポイントとなるシーンでもある。
もちろん、予告編に登場するアクションシーンも日本映画ではなかなか出来ないスケールで見ごたえがある。日本映画史上初となる台湾新幹線を使用してのシーンはリアルで迫力があり、また、開通直前の高速道路で展開される清丸の乗る警備対象車を護りながらの多くのパトカーを含む移送シーンは、圧巻だ。
当たり前だが、映画はラストシーンからエンディングロールで終わってしまうが、登場人物たちは、この後、重い十字架を背負って生きていくのだろう……。そんな余韻を残す作品になっている。
原作:木内一裕「藁の楯」(講談社文庫刊)
監督:三池崇史
製作:日本テレビ放送網、ワーナー・ブラザース映画
出演:大沢たかお 松嶋菜々子
岸谷五朗 伊武雅刀 永山絢斗 余貴美子 /藤原竜也/山崎努
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式HP:www.waranotate.jp
公開:4月26日(金)新宿ピカデリー他 全国ロードショー
※俳優・山崎努の「崎」の字は本来、旧字体を使用します。なにとぞご容赦ください
©木内一裕/講談社 ©2013映画「藁の楯」製作委員会