ロバート・デ・ニーロ、キリアン・マーフィー、シガーニー・ウィーバーら堂々の名優たちを携え、『リミット』のロドリゴ・コルテス監督が超能力の嘘を暴く。果たして、ロバート・デ・ニーロが演じる人気超能力者は、本物か、偽物か!? 映画を観るあなたの“目”が試される!
遠路を車で訪れては超常現象を科学の力で解き明かし、大学で種明かしの講義をするという日々を送る、科学者のマーガレット・マシスン(シガーニー・ウィーバー)とトム・バックリー(キリアン・マーフィー)。彼らにとって解明できない“トリック”はなかった。30年前に引退した伝説の超能力者サイモン・シルバー(ロバート・デ・ニーロ)が表舞台に復帰するまでは……。
日本でも、昔はMr.マリックが一世を風靡したし、今ではメンタリストのDaiGoがお茶の間で大人気だ。彼が偽物だという理由を検証しているサイトは多々あるが、彼が本物かそうでないかは私なんぞの凡人に知る由もない。だが、本作は映画の風格を携えた逸品だ。すべて観終わったあとのストーリーの感想としては、突っ込みたくなるアラがあるにはある。クライマックスでの被験者を身内で固めるなどという甘いことを、なぜ大学側は許したのか、等々。だが、そうした些末な隙を凌駕するほどの重厚感が、本作にはある。先に挙げた名優たちがスクリーンを闊歩しているから、という理由だけではない。最後の最後まで観客に「オチ」を想像させず、緊迫した空気を絶え間なく、新たに供給し続けるスクリプト。どうやら本国での評価は二分されているらしいが、「結果」だけでなく「過程」を楽しめるタイプの観客なら、必ずや満足いただけることだろう。
「自分探し」という言葉は今や死語なのかもしれないが、誰もが自分自身のことを100%理解し把握しているわけではない。思いがけぬ事態に出くわしたとき、想像もつかなかった反応をする自分に驚くこともある。他人を理解したいのと同様、人間は自分自身をも理解したい存在なのだ。そして他人と自分の異なる部分を知ったとき、なぜ違うのかの理由が欲しいのだ。他との差分が、自分という存在を通じてこの世界のひとつのピースとなっている理由を知りたいのだ。自分が今後もこの世界で生きていくために。自分自身の存在意義を、見出すために。
監督・脚本:ロドリゴ・コルテス
出演:ロバート・デ・ニーロ/キリアン・マーフィー/シガーニー・ウィーバー/エリザベス・オルセン/トビー・ジョーンズ
配給:プレシディオ
公開:2013年2月15日(金)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー
公式HP:www.red-light.jp
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