『エイリアン 』、『ブレードランナー 』といったもはや伝説とも呼ばれる作品で、映画ファンの間に熱烈な信者を多数作り上げてきたリドリー・スコット。齢75歳のこの監督が、エイリアンの、はたまた人類の起源を大胆に明示する新作を生み出した。『ミレニアム 』シリーズで存在感あふれるヒロインを演じて世界にその才覚を認められたノオミ・ラパス、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション 』『SHAME -シェイム- 』と監督たちから引っ張りダコのマイケル・フィスベンダー、そして年を経てもその魅力が衰えることのないシャーリーズ・セロン……と、俳優陣も豪華。ホモ・サピエンス種から知的に大飛躍した謎の「知性の起源」、その秘密が明かされる。
2089年、スコットランドの洞窟で3万5000年前の壁画が発見された。考古学者エリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)。壁画には人類や動物の他に謎の巨人が描かれ、宇宙の星を指し示していた。この巨人こそが人類創造の“エンジニア”だと確信したエリザベス。巨大企業ウェイランド社は宇宙船プロメテウス号を完成させ、エリザベスたちを乗せて未知の惑星を目指すが……。
生命はどう生まれたのか、果たしてそれは偶然に生まれたのか、はたまた何かから作られたのか。神はいるのか。これは太古からの永遠の謎で、いまだ解明されてはいない。そして我々はロボットを作ることはでき、生命の要素が何から出来上がっているのかを解明できても、決して生命を作り出すことに成功してはいない。ピザや炊き込みご飯の材料がわかっても、混ぜ合わせただけではその料理にならないのと同じだ。
その秘密を、本作は冒頭でサクッと披露してしまう。まあ、映画なら創作だからなんでもできちゃうじゃん、と言われればそれまでだが、その種明かしは奇天烈というわけでもなく、列記とした科学に基づくシナリオだ。現にヒトのゲノムにはバクテリアの遺伝子が途中から加わり、逆にヒトの遺伝子がバクテリアに入った例もあるのだという。遺伝子は種から種へと動き回るのだ。
なんでそこでそれやっちゃうのとか、なんでそうなっちゃうのとか、「それがないとストーリーに起伏がなくなっちゃうから敢えてこうしてみました」的なツッコミどころは満載だが、マイケル・フィスベンダーのロボット役が可愛いから良しとしよう。男性陣は、今も変わることないシャーリーズのバディに驚愕と感動を覚えることウケアイ(……って見どころはそこではないが)。
下手すると単なるB級に陥りそうなこのアイデアを、ここまで壮大なスケールに昇華させて豪快に料理したのは、さすが巨匠の手腕。材料さえ混ぜ合わせれば映画になるわけではない、ということを堂々と示してくれる。
監督:リドリー・スコット
脚本:ジョン・スペイツ/デイモン・リンデロフ
出演:ノオミ・ラパス/マイケル・ファスベンダー/シャーリーズ・セロン/ガイ・ピアース
配給:20世紀フォックス映画
公開:8月24日(金) TOHOシネマズ日劇他ロードショー
公式HP:http://www.foxmovies.jp/prometheus/
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