全米大ヒットの『96時間 』や『スリーデイズ 』の元ネタともなっているフレンチ・サスペンス。近年台頭目覚ましいこのジャンルから、またもや新星が躍り出た。ミステリー・スリラー・アクション映画最高峰の祭典、コニャック・スリラー映画祭で最優秀スリラー賞を受賞した本作は、練りに練られた脚本と躍動感あふれる画面構成、一癖も二癖もあるキャラクターたちで、昔ながらの映画ファンをも満足させる仕上がりだ。
服役中の銀行強盗犯フランク。出所後は愛する妻と娘と三人で穏やかに暮らすことを望んでいた。隠した金の在り処をめぐって獄中の仲間から身の危険に晒される日々を送るなか、同房者のモレルだけは誠実そうな人柄で、フランクを安堵させていた。ある日、冤罪が明らかになり、モレルが出所するという。モレルを信頼していたフランクは家族への伝言を彼に託すが、モレルの正体は異常犯罪者だった……。
脱獄した逃亡者は警察の目から逃れながら異常犯罪者を追い、異常犯罪者は逃亡者から逃げながら新たなターゲットを探し、女刑事は逃亡者と異常犯罪者を追う。三つ巴の言葉どおり、入り組んだストーリーの中をこれでもかこれでもかといわんばかりに贅沢な見せ場がふんだんに表れる。
特に主人公……彼は1964年生まれだから40代後半に足を突っ込んだ齢なのだが、肉体的衰えは一瞬たりとも感じさせず、『MI 』シリーズのトム・クルーズか、はたまた『007 』のダニエル・クレイグかというほどの身体的能力を発揮し、「なんでそれで生きてるの」という主人公マジックも全身に纏いつつ、スクリーンの中を走って走って走りまくる。主人公自らの体当たりのスタント、手に汗にぎるこの感じ、もしかしてこの人エイリアンだったってオチなんじゃなかろうかとさえ思える不死身感、これこそが本作の謳い文句である「これぞ映画!!」なのだ。
監督:エリック・ヴァレット
脚本:リュック・ボッシ/ローラン・ターナー
出演:アルベール・デュポンテル/アリス・タグリオーニ/ステファン・デバク/セルジ・ロペス
配給:エプコット
公開:6月30日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国順次ロードショー
公式HP:http://bellflower-jp.com/
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