過去に戻れる能力を持った男が、現実の悲惨な状況を回避するために次々と過去を変えるといった設定の『バタフライ・エフェクト』。シリーズ1、2と続き、3作目となったのが本作である。2で1との違いに唖然とした方も、本作でなら納得の衝撃を得られるのではないか。
過去に戻って殺人現場を目撃し、警察に捜査協力をすることで生計を立てていた主人公。「個人的な理由で過去に戻らないこと」「過去を変えないこと」を妹と取り決め、忠実にそれを守り実行してきた。そんな彼のもとに、「真犯人は別にいる」と証拠を手に訴えながら、殺された昔の恋人の姉が訪ねてくる……。
2同様、キャストも設定も一新で、同一なのは主人公が持つ「能力」だけだ。1では主人公は「どう過去を変えてもさらに彼女が不幸になる」という究極のアンラッキー・ガイだった。2では過去を変えるごとに主人公自身がダメ人間になっていき、結果、過去を変える方法自体もダメダメなものになる……という究極の負のスパイラルが展開された。3の本作では、主人公が過去に戻るたびに新たに人が殺されていく。正義感の強い彼が殺人を起こすとは、一見思えない。無論、主人公にも「自分が殺した」という記憶はないわけだが、どう考えても自分が原因で殺人が起きていくとしか思えない。犯人の手がかりを掴むために何度も過去へ飛ぶが、その度に人が死んでいき、主人公の苦悩が増していく。
ラストの質感を語るなら、1は悲しみと切なさの究極だった。2は割とハチャメチャな「トンデモ感」だった。3は……胸張り裂けんばかりとでも言おうか、目を背けたくなるとでも言おうか。もし自分が主人公であったら、ラストの行動はできないかもしれない。主人公に真の正義感と勇気があったからこそできた行動だろう。そしてシリーズに共通して言えるのは、「過去は決して変えてはいけない」ということ。リアルでドラえもんが存在してはいけないのである。
1に匹敵するほどの驚愕のラストを味わえる本作。ぜひとも劇場でご確認いただきたい。
バタフライ・エフェクト3/最後の選択 無修正版(DVD)
監督:セス・グロスマン
脚本:ホリー・ブリックス
出演:クリス・カーマック /レイチェル・マイ /ミア・セラフィノ
配給:リベロ/AMGエンタテインメント
ジャンル:洋画
※R-15指定
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