10月8日 島根県松江市 ボートピア松江
10月は、ボートレース児島(岡山県)、ボートレース住之江(大阪府)、ボートレースびわこ(滋賀県)、ボートレース福岡(福岡県)と4カ所のボートレース場に出張した。今月はもちろん、そのなかからレース場グルメなどを紹介する予定であった。
出張先のなかにひとつ、ボートピア松江が含まれていた。“ボートピア”とは、場外舟券発売所の通称。中央競馬でいえば“WINS”。ボートピアへの出張というのはめったにないが、10月は予想イベント出演というスケジュールが入ったのである。ただし、この欄で取り上げるつもりはいっさいなかった。というのは、ボートピアのグルメには特色のあるものがあまりないからである。純粋に舟券だけを売る場所だから、前売りで舟券を買って帰ってしまうなど、短時間しか滞留しない人も少なくない。だから名物グルメがない場合も多いし、したがって当欄の対象からはそもそも外れていたわけである。
BP松江ではこんなこともしていました。
香川の平山智加選手とのトークショー(写真提供・ボートレース児島/日本レジャーチャンネル)ところが、この欄の担当である松本が、別件のメールの最後にこんな言葉を付け足していたのである。「松江のグルメも知りた……いやいや、すべてお任せします」。松本との付き合いは20年にも及ぶ。奴がまだ10代のころから知っている。ということは奴も、こちらの性格をよく知っている。こいつ、いつの間に人をあざとく使う手練を身につけやがったんだ……などとブツブツ言いつつ、気づけば松江市内の某店で日本酒をあおっているのであった。うまくハメやがって。
こちら松江で食べた宍道湖のしじみ。
たしかにあさり級の大きさですねというわけで、松江グルメ。ボートピア松江ではやはり食指が動くものにはお目にかかれなかったが、JR松江駅前の居酒屋には松江名物の美味しものが揃っていた。松江名物といえばまず、宍道湖のしじみ。メニューにも「しじみの酒蒸し」があった。ふつうは「あさりの酒蒸し」ですよね。でも松江ではしじみ。宍道湖のしじみは、よく知られるしじみよりも大ぶりで、味わいもまた深いのであった。
ボートピア松江は山陰地方にある唯一のボートレース関連施設ということで、山陰の海の幸も味わっておきたい。刺し盛りを頼むと、なかに「マルゴ」なる魚が鎮座していた。キュートな店員さんによると、「ハマチの大きいのです」。島根独特の名称らしい。食してみると、たしかにハマチといえばハマチだが……。東京に戻って調べてみると、関東人の認識しているハマチとは違うようですな。全国的にわかりやすく言えば、「ブリの小さいの」なのだ。出世魚であるブリは、東京の人間からすれば、イナダ→ワラサ→メジロ→ブリだが、島根ではワカナ→ハマチ→メジ→マルゴ→ブリなのだ。まあ、結局のところ、ブリといえばブリという感じではありましたが……。ブリよりはやや淡泊に感じられました。
のやき、なるメニューもあった。何も確かめずに注文すると、チクワのようなものがあらわれる。これは、トビウオのすり身を焼いたもの、だそうだ。へえ、初めて聞いた。チクワよりもずっと身が引き締まった感じで、松江の地酒によく合う逸品であった。
「ブリの出世の順番は東西で違う」
それを再認識した松江のマルゴ
トビウオのすり身焼き、
松江で出会った「のやき」それにしても、東京と山陰では食文化がずいぶん違うと感じ入った次第。松本のおかげで貴重な体験ではあったな。
10月14日 大阪府大阪市 ボートレース住之江
住之江「ライフク」の焼きそば。
出店で食う焼きそばの正調なフォルム(笑)レース場グルメもひとつ。ボートレース住之江の焼きそばだ。「ライフク」という売店のような店の焼きそばは、常に大行列。この日も20分ほど並んでようやくありつけるというほど、大人気なのである。おじさんが一人で3人前ほどを丁寧に、しかし豪快に焼き上げるため、時間がかかるという次第。しかし、その味わいは並んだ甲斐があったと納得できるほど絶品で、濃厚なソースが実に強烈なインパクトを与えてくれる。住之江ボートを訪れて、ソースの匂いとともに行列を発見したら、とにかく最後尾につくべし。場内をぶらぶらしていれば、必ず見つかる。待ってる間は舟券予想に興じつつ、ヨダレ垂らして焼きそばを手にしたなら、あなたはきっと至福を味わえるはずである。
※次回は12月7日に公開です。今回は登場しませんでしたが、10月福岡・SG全日本選手権出張の模様は、11月9日発売の『BOATBoy』にて! 11月20日開幕の児島・SGチャレンジカップの現地取材の模様は『ボートレース特集』、こちらもよろしく!!