墓地を見おろす家

おっと!
「結局何がいいたかったのか?!」「人間観・自然観は?」「一体、何がしたかったのか!?」
そーゆーの、ちょっと脇へ置いときましょうよ。

まあ、まあ、なし崩しに主題があらぬ方向へ流れたとして「ホラー文庫」ってんだから、我慢、我慢。

この川がどう蛇行し、川底にどんな流石を転がし、水面に何を浮かべて流れていくのか、そのことに集中してワクワクするだけで充分なんじゃあ、ありません?
ドキドキしている間に「あっ」という間もなく「the Emd」に行き着くスピード感とスルスル感はことの他、相当気持ちよく楽しませてくれるから。

人が内側に「罪」を蓄える時、それが外側へ向かってどう表象され、どう行動を規定していくか。そのあたりの筆者の観察眼とその視点の位置取り、これはうならせる妙技。
「罪深き者」「罪悔いなき者」には必ず報いが、など言いたかろうわけも決してあるまい。

人間存在はさほどに単純でもなく、清濁はオルタナティブでもない。
全く、同感!!!

だから、ツライのよね〜


058.jpg

作者名:小池 真理子
ジャンル:ホラー小説
出版:角川ホラー文庫

墓地を見おろす家(角川ホラー文庫)