久しぶりの里帰り。明日は大阪に帰るという日、友人のYちゃんとランチをした。
そのまま別れがたくって、帰り道はドライブしたくなった。
交差点を直進すれば10分もしないうちに終点の我が実家。
「ねえ、海を見に行こうよ」
送ってもらう立場のくせに、ずうずうしく寄り道をリクエストする。
「OK!」
運転手のYちゃんは軽やかにハンドルを切った。
はるかに広がる刈り入れの終わった田圃は、枯れ草色にちらほらと緑の残り穂が見える。刈った後の株から芽が出て、また自然と稲が伸びてくるのだ。でももう暑い夏は来ないから、穂が実ることはなく、そのまま立ち枯れていくのだという。
房総半島、九十九里平野。
何十回と見慣れた、秋の風景。
街道に出ればわかりやすいのに、海まで農道を通って行くのは心もとない。でもおおまかに東へ進路をとれば、たいていは行きつくだろう。そう予想して、十字路を曲がったり真っすぐを選んだり。ようやく、見慣れた海岸通りに出た。
「やったー!」
砂浜の手前の道に車を止めて、二人で歩いて行く。
秋の海は静かだ。
九十九里海岸は、日本一長い遠浅の砂浜。
どこまでも続く波打ち際。
中学生の夏、友達と自転車で泳ぎに来た海。
高校合格祈願には、寒さと暗さの中、初日の出を拝みに来た。
彼と二人で海を眺めた二十代。
三十代、仕事と結婚に傷ついて帰った私を連れて、母はよく車で海を見せてくれた。
この海にサヨナラしないで大阪に来ちゃったんだなあ、私。
また、逢いに来たよ。
水平線に向かって「わーっ」と叫んでいたら、海風で体が冷えてきた。
「九十九里ハーブガーデンに寄って、ハーブティーと手作りケーキでお茶しよう!」
道案内、ここからは詳しいよ。以前自転車で走りに来たからね。
園内は入場無料。ローズマリー、チェリーセージ、アメジストセージ。ミント系も種類が豊富だ。
敷地の奥には、ハーブの赤ちゃん苗を育てている小屋がある。
ウサギ小屋のウサギをのぞいたり、ショップを冷やかしたり。 Yちゃんも私も、癒し系に目が行くね。
さてそろそろお茶にしませう。
ハーブティーはブレンドとシングルがあり、オリジナルブレンドは、いきいき・くつろぎ・さわやか・すっきり・キューティー・ビューティーなど、その日の体調や気分に合わせて選べる。砂時計の砂が落ちる間もおしゃべり。
窓からの夕陽を眺めて、心ゆくまで語り合った、ふるさとの秋の日。
九十九里ハーブガーデン
千葉県山武郡九十九里町片貝4477-2
Tel:0475-76-6581
http://www.herb-cool.com/index.html