新千歳空港国際線ターミナルギリギリに駆け込んで、夜遅くヘトヘトになって戻ってくる。いつも慌ただしく通り過ぎるだけだった新千歳空港。来日する友人の希望で、一緒に空港観光することにした。
新千歳空港は北海道内にある最大規模の空港。道外から北海道に入るには、現在のところ空路がもっとも効率的な交通手段。そういうわけで、莫大な年間利用者と国内線ネットワークを持ち、北海道の空の玄関となっている。とりわけ千歳―羽田便は世界で初めて年間乗降客が1000万人を突破した世界一の巨大幹線である。
ビル内の飲食店や土産物屋は新千歳空港名物のひとつ。地方空港では那覇空港と並んでトップクラスの収入を記録し続けているという。そのため、他の地方空港の関係者による視察が絶えない。中部国際空港も開港に際しては経営モデルとして新千歳空港を参考にしたと言われている。
まずは、2010年3月にオープンした国際線ターミナルをのぞきに行ってみる?札幌発着の国際便はこんな街まで飛んでいる。ソウル、香港、台北、北京、上海、大連、ユジノサハリンスク、そしてグアム。最近はアジア圏の北海道ブームで、増便や新路線開設の動きがでてきた。今回は東京から日本入りした友人も、次回からは札幌へ直接とんでくるよ、とのこと。
空港内でカニが泳ぐ
これ、素通りできる?土産物売り場を見たいという友人のリクエストに答えて、物産品コーナーへ。生簀の前で、友人が歓声をあげた。そうだよね、生簀があってそこでカニやエビが泳いでいる空港って、たぶん他にないんじゃない? あ、でも私は北海道限定発売「じゃがりことうきびバター」と「ほっとポテト」の方が気になるんだよね。かの有名な「じゃがポックル」の兄弟版商品。これ、出荷数が限られているため、市内でもなかなか手に入らないんです。あとね、季節のアスパラ。空港のが新鮮ということで、出張帰りに札幌の自宅用に購入する人もいるとか。
季節のアスパラ買って帰ろう
私のお目当て
友人のお目当てこの空港、2010年春から北国ならではの面白い試みも始めた。空港の敷地内に巨大な雪山を造り、ターミナルビルの冷房に活用する。これは世界でも例がない。ターミナルビル全体でこれまでの重油使用量の3割を賄い、二酸化炭素削減が見込まれている。
なんだかお腹すいてきたよ。そうそう、国際線内の機内食がね……。難しい話はこのへんにして、それじゃあ、ここに行きましょう。朝市食堂である。この店、開店時には東京から出張してくる人の行列ができるらしい。朝じゃないけど、このメニューの前でどうして暖簾をくぐらずにいられる?
これがいちばんの目的だったのよ! 母国で芸術関係の仕事をしている友人のお目当てはこれだった。「環境としてのアート」として空港内に展示されている彫刻家朝倉響子の「ANNE」。都会的でエレガントな現代女性像が北海道のさわやかな風にぴったりだ。北海道のすばらしさ再発見である。
そう、空港はその土地の玄関。入口が楽しければ、中身もきっと楽しめるに違いないのだ。