朝も早くからご苦労さまなことで。
シーズン初だから、登録にも時間が かかる6月最初の週末、夫が待ちに待ったシーズン開幕戦があった。前日には有休まで取ってモントリオールへ新しいタイヤを買いに行き、準備万端。私も今年から参戦というので、5月には2度も事前講習に参加、やる気だけはあるのだが……。果たしてその実力は如何に、というオバさんドライバーの誕生だ(私ですよ、私)。周りはほぼ、自分の半分くらいの年齢の人たちばかり。ダイジョーブかぁ……と心細くなるのだが、そこは元F3レーサーの夫の同乗で乗り切るしかない。
ふっふっふ。私が始めたのは、オートクロス。日本では、「ジムカーナ」という呼び名で親しまれている自動四輪競技だ。イベント会場などの大きな駐車場ほか、とにかく広い舗装スペースにコーン(パイロン)を並べて、クネクネ走行でタイムを競うというもの。車体にコーンを引っ掛けたり、コーナーで車がスピンしてエンジンが止まったり、さすがは初心者、というミス多し。
なにをまた…。
いいトシこいて…。
はっきり言ってジャマだよね…。
そんな陰口、たたかれているに違いない。しかしながら、夫は元チャンピオンで、クラブにあるいくつものトロフィーに名前が刻んである強者。昨年は、若人の憧れ「タルガ・ニューファンドランド」にも出場してしまったし(注・70年代までイタリアで行なわれた世界最古の公道スポーツカーレース「タルガ・フローリオ」から派生したレース)、文句言いたくても相手が悪いさね。 たらい回し海外赴任から十数年ぶりにカナダに戻った一昨年、夫は長らく放置して乗れなくなってしまった愛車240Zの同型車をゲット。昨年はラッピングやオートクロスに復活し、タルガ・ラリーにも出場したのだ。サポーターで同行した私へのお礼だと、ホンダのスポーツカーなんて買ってくれちゃって……。そりゃあもう、やるっきゃない状況になってしまったのよね。ま、いっけど。
まるでコーンの海をゆく感じ。
小さくて馬力のある、こんな車種がスラ ローム向き?
なんだか、ウルトラマンの隊員みたいなヘルメットだな。
キティちゃん のシール、わかる?コースマップは、開催当日にならないと発表されない。コーンの配置を覚えるべく、週末なのに早朝から出かけて、歩く、歩く。いかにコーンを倒さず、コースを早く走るか。50秒程度という時間に、全神経を集中させて頑張っているんだよね、若人は。何ごとも気合いだーっ!と、いきがってはみても、内心はちょっとだけドキドキ。前任地で行った沙漠のオフロードに比べたら、オートクロスなんてどーってこともないんだろうけどね。滅多にエキサイトしないカナダの暮らし、刺激を求めてついに私もここまで来てしまったか、と思う。
レース用に、ナバープレートもお取り替え。
アラビア語表示がイケてるでしょ?
おまけ:昨年のタルガ出場時の夫のフェアレディーZで、実際コースを走ったところ……
確かにドキドキはするけれど、まだまだアドレナリンが出足りてない感じ。もっとも、まだ誰よりもゆっくり走ってるんだから、当たり前っていえば当たり前。ほとんどの若人が55秒前後で走っているのに、私はやっと60秒台にのせられたっていう状況。だって、新しいタイヤ、すり減らしたくないもーん! そんなケチくさい気持ちが振り切れたら、私も記録を伸ばせるのだろう。しかし、なぜそこまで気持ちが入るのか……?
あ、前任地のアラビア半島ではオンナが運転できない法律だったから、きっとその反動なのだわ! さーて、いつまで続くのやら。