弥太郎が売らなかった三菱製品

先週末の男子プロゴルフツアーは「ダイヤモンドカップ」だった。ゴルフの場合、洋の東西を問わず、大会名にスポンサー名が入っているものが多い。最近はメジャー大会と呼ばれる公式戦でも例外ではなくなってきているが(今週のメジャー大会、「日本ゴルフツアー選手権」もシティがスポンサードしていました)、この「ダイヤモンドカップ」もダイヤモンドという非常に抽象的な名前でありつつ、スポンサード大会である。宝石屋か?と思うところだが、これは「三菱グループ」がメインスポンサー。菱形を三つ組み合わせたおなじみのCIは、グループ内外で「スリー・ダイヤモンド」と呼ばれている。それ故か、三菱電機等で作られるモニターの多くは『ダイヤモンド・トロン』や『ダイヤモンド・ビジョン』、三菱系のクレジット会社だった「DCカード」のDCは『ダイヤモンド・クレジット』だったりする。


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というわけで三菱鉛筆。
ローマ字表記は三菱グループとの差別化で
『ハイフン』入り

さて、そんな三菱グループ、ただいま大河ドラマ『龍馬伝』で活躍中の岩崎弥太郎を創始者に造船業などの重工業、電機、自動車、建設、商社……と一大企業グループとなっているが、実は超有名な三菱でありつつ、岩崎・三菱財閥とは創業から関連がない三菱がある(ややこしい)。

それは『三菱鉛筆株式会社』。1887年に、眞崎仁六が起こした「眞崎鉛筆製造所」から、1952年に現社名となっている。なお、スリー・ダイヤを登録商標としたのは1903年のことで、これは三菱グループより11年早かった。

実は三菱鉛筆には、現オーナー家である数原家なども含め、岩崎家と姻戚関係を持つ経営者も複数いるのだが、資本や人的関係としては存在しない(戦後の財閥解体の際、三菱グループと勘違いしたGHQに商標変更を迫られた、などということもあった)。かつては三菱グループからの参入要請もあったようだが実現はせず、しかし、競合職種でもないことから、スリー・ダイヤの使用などでも紛糾したりはせずにいまに至っている。三菱グループの記念品などで、三菱鉛筆製品が使われることもしばしばあるようだ。

ちなみに三菱グループホームページの「三菱グループについて」という項目には、「三菱鉛筆は三菱グループ企業ですか?」という質問があり、違いますという答えとともに三菱鉛筆ホームページに誘導していたりもする。