手持ちのシガーを昼間の喫茶店で吸ってしまったので、確実にストックがあるところがいい。とはいえ、バーに置いてあるヒュミドールにはたくさんのシガーを入れることはできず、オーナーの趣味に偏るところがある。管理が悪いと、シガーの状態が芳しくないことも。そんな時に便利なのが、シガーバーだ。シガーバーとは、シガーを置いているバー、またはシガーが吸えるバーのこと。中には、シガーショップ並のストックを揃えるシガーバーもある。
六本木交差点から六本木通りを渋谷方向にしばらく歩くと、右手に「le Connaisseur」(コネスール)というシガーバーがある。ここは、キューバ葉巻のストックが充実しているのがウリで、もちろん本格的なショットバーでもある。本日のチョイスはアップマン。ちょっと濃いめのアロマが特徴のキューバ葉巻だ。
カクテルを飲みたい気分なので、いつものマンハッタンと行こうかと思ったが、もっと渋めに「ロブロイ」をオーダーする。ロブロイは、18世紀のスコットランドに実在した英雄の名前に由来しているカクテル。1995年に『ロブ・ロイ ロマンに生きた男』として映画化されている。レシピはスコッチウィスキー2に対してベルモットを1。アンゴスチュラ・ビターズを振る。要はマンハッタンのウィスキーをスコッチにしたものだ。バーテンダーの手元をじっと見ていたら、スコッチは「ジョニーウォーカー 1820」を使った。創業した年を記載したプレミアムボトルで、素晴らしい完成度だ。もちろん、贅沢な材料を使ったロブ・ロイも染み渡る。アップマンのアロマに負けない、というよりも相乗効果でどすんと来る。1杯目からヘビーな酒を頼んでしまったか? それもまたよし。
カウンターには男性の一人客が数人いて、それぞれシガーを楽しんでいる。他のバーだと葉巻が珍しがられることもあるが、ここでは日常の光景だ。そのうちの一人がジーンズにTシャツの意外とラフな格好で来ていた。ショットバーに行ったことがない人からよく聞かれるのが、ドレスコードのこと。基本的になし、と言いたいところだが、ある程度のマナーはある。ホテルのバーなら明文化していることもある。NGなのは、男性のノースリーブシャツ。要はランニングだ。また、男性のサンダル履きもNGだ。なお、女性はどちらもOK。
お客さんもバーの一部となる。女性を口説くために来ている二人連れの隣で、Tシャツ・短パン・ビーチサンダルの男がビールを飲んでいたら、ぶち壊しだ。俺は見た目なんか気にしないぜ、と気取っても迷惑なだけ。ここは最低限の格好をしておきたい。とはいえ、何も一張羅を出す必要もない。ジーンズでももちろんOK。仕事帰りのスーツなら、上着を取ってネクタイを外しても問題なし。あくまでも気軽に楽しみたい。ちなみに、その人は、ジーンズもTシャツも時計もセンスがいい。なにより靴が見た目で高級そうで、もちろん問題なしだ。
【le Connaisseur】
東京都港区六本木7-18-11 DMビル
TEL:03-3746-3636