幅を利かせるイースターのウサギ


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春の最初の花はクロッカス!

ドイツの春は、クロッカスの開花とともにやってきます。寒くて暗い冬の日々に終わりを告げる最初の彩りがこの花、というのは、春の訪れの時期が多少前後しても変わることがありません。

ところであまりにも冬が長いため、「いったいいつ春が来るのか?」と毎年やや不確かな気分にさせられるものですが、この不安定さに一役買っているのが、イースターの暦ではないかと私はにらんでおります。


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クラシックウサギ(左)ちょっとカメラ目線(中)
完全2本足歩行(右)と進化するウサギチョコ

春の訪れを実感させるシンボリックな祭日イースター(復活祭)。しかしこれが太陽暦の上で毎年一定ではないのですね。なぜかというとイースターは、春分の日(3月21日)の次の最初の満月の後の日曜日、と決まっているから。(覚えましたか?)

さて、不安定な気持ちを抱えながら春を待っている人には、スーパーマーケットに行ってみることをおすすめします。


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巨大卵のオブジェ

イースター前のスーパーのお菓子売り場。そこはほとんど、ウサギの独断場と言っても過言ではありません。ウサギをかたどったバラエティ豊かなチョコレートが特設コーナーにずらりと並び、ぱっちり開いた瞳であなたを出迎えてくれます。

イースターは、イエス・キリストが人類の罪を背負って十字架にかかり、3日目によみがえったことを記念するお祭りですが、ドイツでのイースターの祝い方は、キリスト教以前の古代神話とも結びついていると言われています。たとえば、ウサギのほかにも卵がイースターのシンボルとされていますが、これももともとは古代神話の生命と豊穣のシンボルなのだとか。


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イースター定番、木の枝に卵を
つるしたデコレーション

で、なぜ他の動物でなくウサギなのか。かつては、春に増える動物、ということでニワトリやコウノトリなんかもイースターのシンボルだったのだそうです。10年前くらいには、アヒル型のチョコが人気を博して
いたこともありました。しかし、今では完全にウサギの一人勝ちです。

ドイツの子供のための物知り事典に出ていた話では、ウサギは眠るとき
に目を閉じないので、「目を開けてキリストの再臨を待っている」という意味があるのだそうです。そこが突出していたのかなと。

ちなみに、今年のイースターは4月12日でした。イースターの日には、家の中や庭に隠してある卵(色塗りのゆで卵や卵型チョコレート) を探す、という無邪気な遊びをします。この卵もなぜか、「ウサギが隠した」ということになっているらしいです。