京都には、古来より続く由緒あるお祭りがたくさんあります。もっとも有名なのが祇園祭、そして葵祭、時代祭、五山送り火など「年中、京都は行事続き」といっても過言じゃないかもしれません。
そのなかで“知ってそうで意外と知られていないお祭り”、これをひとつご紹介します。ユネスコ世界遺産にも指定されている下鴨神社の「御手洗祭(みたらしまつり)」です。
御手洗祭は毎年、土用の丑の日に行なわれます。時は平安時代、貴族たちが季節の変わり目に、清らかな水に手足を浸して罪や穢(けがれ)れなどを払う「禊祓(みそぎはら)い」を行なっていたそう。この風習に由来した伝統行事で、別名「足つけ神事」。今でも下鴨神社の境内、糺(ただす)の森にある御手洗池に足を浸して、老若男女が罪や穢れを祓っています。
毎年、土用の丑の日の前後に行なわれている「御手洗祭」2年前、この御手洗祭に初めて参加しました。祇園祭の山鉾巡行を終えた京都はまさに夏、真っ盛りでとても暑い日でした。そんななか靴を脱ぎ、靴下も脱ぎ、素足で御手洗池に入っていき、その水に足を浸けた瞬間の冷たさといったら! 空から照りつける太陽の厳しい陽射しを浴びながらも、手足が水で“ヒンヤリ”した感覚は、いまだに忘れられません。まわりでは、子供も大人も、カップルもお年寄りも皆、手足を御手洗池に浸し、しばしの清涼感を味わっていました。
ちなみに、この足つけ神事は疫病や安産にご利益があるとされ、御手洗池は土用の丑の日を中心とした前後4日のみ開放されます。水に手足を浸した後は、御手洗社に献灯して祈りを捧げ、延命長寿のご利益があると伝わるご神水もいただけます。
そして、御手洗祭でもうひとつ忘れてはならないのが、「みたらし団子」です。
いまや日本全国どこでも売っているおなじみの和菓子、みたらし団子。その“元祖”ともいえるみたらし団子の発祥は、実はこの下鴨神社であり、御手洗池に由来します。
みたらし団子は、御手洗池から湧き出る水の泡を模して作られたのがはじまり。串に五つ刺さっているうちのひとつだけが離れているのは、そのひとつが頭、残りが四肢として人間の身体を表しているから。その昔、夏越の行事に使われる人形紙のように神前に供え、お下りを食べていたそうです。
世界遺産の下鴨神社。
糺の森や御手洗池をはじめ、
見どころの多い京都の人気スポット
「加茂みたらし茶屋」のみたらし団子。
下鴨神社の門前にあって年中味わうことができます下鴨神社の門前にある『加茂みたらし茶屋』で、この由緒あるみたらし団子を年中、味わうことができます。1人前400円。試しに店内で注文して食べてみると、黒砂糖をベースにしたまろやかな風味のタレにやわらかかい団子が絶妙にマッチし、特にできたてを味わうとやはりおいしい、の一言。2本、3本……と、いくらでも食べられそうでした。持ち帰り用(5本525円?)もあり。その他、ぜんざいやわらび餅などのメニューも。
御手洗祭は一般の参加OKです。夏の京都でぜひ一度、この祭りに参加してみてください。さらに、元祖のみたらし団子を味わうのもお見逃しなく。