“ドカーン”から生まれた国際的権威――ノーベル賞

「12月に入ると『今日は討ち入りだ』であるとか、『今日は真珠湾だな』などとつい言ってしまう」

こんなジョークの通り、12月には印象深い「○○の日」が多くある。いま記した討ち入り……『忠臣蔵』にて赤穂浪士47士が吉良上野介義央邸に討ち入った日は12月14日であり、真珠湾攻撃が行なわれたのは12月8日である。で、その8日はジョン・レノンの命日でもあったりするし、10日にはかの「三億円事件」が起きている。
そのほかにもクリスマスがあり天皇誕生日があり、大晦日があり有馬記念(笑)があり……と盛りだくさんの12月なのだが、今回はそんな12月の10日に毎年必ず行なわれる世界的イベントのおはなしを。

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受賞メダル。
ノーベルの肖像が表面。裏面は賞によって異なるが、
物理学賞と化学賞は写真右の物で共通
12月10日、スウェーデンの首都ストックホルムと、ノルウェーの首都オスロで開かれるのが「ノーベル賞の授賞式」。ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルが1896年12月10日に死去した際、「私の遺言執行者が安全な有価証券に投資し継続される基金を設立し、その毎年の利子について、前年に人類のために最大たる貢献をした人々に分配されるものとする」との遺言を受けて、1901年より実施されるようになっている。
贈られる賞は6部門あり「物理学賞」、「化学賞」、「経済学賞」をスウェーデン王立科学アカデミー、「生理学・医学賞」をカロリンスカ研究所、「文学賞」をスウェーデン・アカデミー、「平和賞」をノルウェー・ノーベル委員会がそれぞれ選考する。
受賞者(平和賞のみ団体も対象)には賞状とメダル、そして賞金が1000万スウェーデン・クローナ(約1億1500万円。ちなみに日本国内法では非課税)が送られる。この賞金の原資は遺言の通り、ノーベルの遺産を管理するノーベル財団が資産運用し、その利息で賄われているとのことだが、この世界的大不況で現状維持は少々苦しいという噂もある。なお、他の5部門とは遅れて1968年創設の経済学賞のみ、賞金原資はノーベル財団ではなくスウェーデン国立銀行からである(正式名称も「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」という)。
ところで、平和賞のみがノーベルの出生地であるスウェーデンではなく、ノルウェーで選考と授賞式が行なわれているのもノーベルの遺言による。これは、大量殺戮兵器にもなるダイナマイトの発明から「死の商人」などとも呼ばれたノーベルが、平和の探求を国際的に表明し、さらに当時スウェーデンと同君連合を組んでいたノルウェーを選んだという説が有力である。

なお、現在の日本出身の受賞者は18名(08年に物理学賞を受賞した南部陽一郎氏は当時米国在住で、国籍も米国)。有力として毎年名前が挙げられる国際的作家氏も含め、今年の受賞者はなかった。文学賞や平和賞以外ともなると、その功績はちんぷんかんぷんだったりするものだが、やはり心躍るものがある日本人の受賞。来年からまた19人目、20人目と登場してもらいたいものだ。