早いもので12月も半ば。来るクリスマスや新年に向けて、街はきらびやかなイルミネーションで彩られている。今年は震災の影響で自粛という向きもあるようだが、華やかな情景というのはそれだけで感動や安らぎをもたらしてくれる。すべての人に笑顔を。どうか過度な自粛ムードに流されず、師走らしいイルミネーションを日本中に届けてほしいものだ。
さて、今回はそんなイルミネーション、砕けて言えば「夜景」についてのおはなし。現在、我が国での最大級のイルミネーションといえば「神戸ルミナリエ」。95年に我が国を襲った阪神大震災での追悼と復興を記念して、同年の12月より現在も神戸の地で行なわれている。
そして、その神戸で生まれた夜景に関する言葉が「100万ドルの夜景」。素晴らしい夜景を見ると誰しも口を突いてしまう言葉のはずだが(?)、その誕生は神戸・六甲山から眺めた夜景に由来している。
六甲山から眺める「100万ドルの夜景」
1953年、六甲山からの夜景をいたく気に入った現在の関西電力にあたる電力会社の副社長が、一望できた神戸、尼崎、芦屋、大阪の住宅や街灯の数を調べてみると、約500万個あることがわかった。さらに、その約500万個の電気代は当時の価格で約3億6000万円だった。
そこで……“3億6000万円の夜景”となってもよかったところ、当時の米ドル=1米ドル360円に換算してみると、ちょうど100万米ドルとなったことで、ゴロもよく「100万ドルの夜景」となったのである。
なお、最初の100万ドル認定から五十有余年、六甲山から見渡せる街灯も激増し、また為替レートも劇的な円高となったいま、当該地域の電気代を換算すると1000万米ドル(近年の急激な円高で現状は1300万米ドルくらいかと)程度になっているとか。それゆえ現在の呼び名は「1000万ドルの夜景」に出世したという説もある(笑)。
ちなみに、神戸と同じく「100万ドルの夜景」とされる“日本三大夜景”は「函館山から見る函館市内」と「稲佐山からの長崎市内」とされている。個人的には手稲山からの札幌市内や熱海などもオススメです、はい。