必需品は保冷ボックス?――ペルー、ノルテの旅

harada001.jpg
「このパンがうまいんだ」と袋に詰めてくれたパン屋さん
ペルー北部海岸地域(通称:ノルテ)の小さな街フェレニャフェを訪れた。ペルーは全国各地で「ご当地グルメ自慢」が盛んな国だが、なかでもノルテは特に料理が美味しいと評判だ。ぜひ地元の名産を買って帰ろうと、友人とともに地元の市場へと出かけた。

市場の入り口で焼き立てのパンを買い、それをもぐもぐと頬張りながら奥へと進む。ノルテで忘れてはならないのが、特産の「サパージョ・ロチェ」というカボチャ。リマで一般に売られているカボチャよりも甘みがずっと強く、味も濃厚。ロチェで作るポタージュは私の好物だ。市場では手の平サイズの小さな物が2ソーレス(約60円)、1キロを少し超えるくらいのものが5ソーレス(約150円)で売られていた。さすがは産地、首都リマの半値以下だ。

友人のお勧めは「パルタ・ネグラ(黒いアボカド)」。未熟なパルタ・ネグラの皮はつやのある鮮やかな緑色をしているが、熟れてくると紫がかった黒に変わる。形はまん丸で、大きさは一般的なアボカドの倍はあるだろうか。「これはずいぶん食べ甲斐がありそうだな」と躊躇していると、友人がさっと買って私にプレゼントしてくれた。紙風船ほどもありそうな立派なパルタ・ネグラ。ありがとう、美味しくいただきます!

harada002.jpg
活気あるフェレニャフェの市場
その他リマにはない種類のえんどう豆と、これまたリマで売られているものの倍ほどありそうな大きなレモンを購入。野菜部門はなかなか満足な結果とあいなった。

しかし私がいちばん欲しかったものはカボチャでもアボカドでもなく、実は「鴨」だったのだ。以前食べたノルテの鴨料理の美味しさにはまった私は、今回地元産の鴨を買って帰ろうと保冷バッグまで持参していたのだ。

ペルー北部海岸の乾燥した土地には、アルガロボというマメ科の木が多く自生している。この地域の家畜は栄養豊富なアルガロボの鞘を餌としているため、ヤギや鴨など肉質に少々癖があるとされるものも、柔らかくて臭みがない。そんな上質の鴨肉で作るカモ鍋や鴨南蛮のお味はいかに?と想像をふくらませつつここまでやってきたと言っても過言ではなかった。

harada004.jpg
「な?んだ、買って帰らないのかい」
残念そうなおばちゃん
しかし、フェレニャフェの鴨は……ずいぶん大きかった。リマで売られている鴨のこれまた倍くらいはあるだろうか。もちろん頭や足を切り落とせばもう少しコンパクトになるだろうが、持参した保冷バッグでは到底間に合わない。その上フェレニャフェからリマへの帰路は、バスで13時間の旅。中途半端な梱包で鮮度を維持するのは難しいだろう。「フェレニャフェの鴨は、そりゃ美味しいのにねぇ」と市場のおばちゃんにも言われたけれど、傷んでしまっては元も子もない。

次回はキャンプ用のしっかりした保冷BOXを持参しよう。そうすれば鴨だけでなく、ピチピチの魚も買って帰れるだろうから。太公望と間違えらるやも知れないが、ノルテを旅するなら持参する価値は充分。あ、もちろん保冷剤も忘れずに。