山頂付近は両側とも
画像右斜面と同じように切れ落ちている スカッと爽やか!!!
「降りるよ。気を付けて!」
例えばフラッとしてよろけたら、落ちる。落ちればどこまでも落ちる。モンブランの頂は幅30ないし40cmの、両側が切れ落ちている細い雪の廊下のようなもの。長居は無用だ。
まして登頂は15:50。もうその日の行動を終了していても早過ぎない時間帯だ。グーテ小屋までの下山は可能な限り速やかに、とは百も承知だから緊張した。
「Stop!!」
頂上より少し戻って、両側の雪斜面の傾斜が比較的ゆるやかになったあたりでジジが後ろから呼びかけた。
ガイドとショートロープでつながっている時は、登りはガイドが先に行く。降りは反対。上から引いて滑落を止めるのはまだ可能でも、落っこちてくるのを下で待ち構えても、なんともできようがないから。
振り返ったら、ジジがカメラを構えていた。サマータイムで日の暮れが遅く、夕方7時でもまだ戸外が明るいお国事情ならではのジジのゆとり!
炭酸の抜け具合がまたちょうどよいよ!
気圧のせいか、高度なのか、気温なのか、私のカメラは早くも登りしなドーム・ド・グーテの頂で動かなかった。ジジはそれを知っていて代わりに撮ってくれようというわけなのだ。
「Stop!」
またジジが呼ぶ。
振り向きざまにジジがペットボトルを投げてよこす。
「Drink!!」
「Coke!!!」
まるでCM!
ほんとにね、こんなに旨いコークを飲んだことはないよ。今までも、きっとこれからも!
おかしな緊張がいっぺんにとれた。登りの時はしんどくてゆっくり辺りを見回すゆとりもなかったのが、だんだんアルプスの景色が目に飛び込んでくるようにもなる。
いい天気だ! 突き抜けるように青い空だ!!
広い広い雪海原だ。居並ぶアルプスの山々を従えて。なんて美しい!!!
この時間帯にまだ登ろうとしている人がいるなんて!!!
「ジジ!!」
今度は私が振り返ってジジに呼びかける。
「イェー!」
「ビユーティフ!!」
「イェ!」
「アイム・ハピ!」
「イェ!」
しばらくしてまた呼ぶ「ジジ!!」
「イェ!」とジジが笑う。
「サンキュ!!!」
「イェ!」とジジ。
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