「夢のゲイシャタイムを!」――ゲイシャチョコレートの謎

geisya2.jpg
ストックマンデパートにあるファッツェルのコーナー。
真ん中左に“ゲイシャ”がいます
フィンランドには『ゲイシャチョコレート』という名のチョコレートがある。甘すぎないミルクチョコレートの中には、カリカリのアーモンド。これが、食べだすと止まらない。

販売元のファッツェル(Fazer)社は老舗のお菓子メーカー。北欧諸国、バルト三国、ロシアの計8カ国でレストラン、カフェ、ベーカリーを展開する、ちょっとおしゃれなブランドだ。
「ゲイシャシリーズ」は、この会社の看板ブランドのひとつで、カールファッツェル(Karl Fazer)と並んで人気の商品。62年販売スタートのチョコレートのほかに、夏にはゲイシャアイスクリームも登場する。

「ゲイシャシリーズ」のキャッチフレーズは「夢のゲイシャタイムを!」。
「夢のゲイシャタイム」?? そして、いったいなぜゲイシャ??

広報の方にお話をうかがってみた。ファッツェル社によると、ゲイシャは「熟達者」という意味で、日常を超えた東洋、特に日本文化の神秘性を表現している。このゲイシャの神秘性が、私たちのエネルギーを引き出すに違いない。
仕事にプライベートにと忙しい現代人にとっては、日常を超えた息抜きが必要。そこで、東洋のゲイシャの力を借りよう!ということらしい。「ゲイシャは日々の休息、夢と喜びの瞬間を創り出すのです!」と広報の方の力強いお言葉。
geisya4.jpg
ファッツェルのベーカリーコーナー。
ドーナツみたなパンの名はムンッキ
geisya3.jpg
こちらはちょっとオシャレなファッツェルカフェ
geisya1.jpg
東洋へいざなわれる(はずの)ゲイシャチョコレート
なんだか、納得がいったような、いかないような……。日本人が「シュリーモルラン」と聞いて、何やら繊細なお菓子を思い浮かべ、「ポッシオーリ・ソルファターラ」と聞くと、新種のピザかパスタか、と思う(私だけでしょうか??)のと同じようなものかもしれない(ちなみに、前者はパリの地下鉄の駅名、後者はナポリの地下鉄の駅名)。

「ゲイシャチョコレート」が日々の息抜き、夢の瞬間なら、働く戦士のための「サムライチョコレート」なんてどうだろう? 早速提案してみると、「ううーん、ハラキリとかイメージされると困っちゃうなあ?」とかわされた。

日本人もたまには「ゲイシャ」気分で夢見心地を味わうのも悪くない。でも、チョコレートの「ラッピングは、私たちを東洋の神秘性へいざなう」というのには、ちょっと賛成できないのですが。