競馬のおはなし。
今週末、29日は競馬の「日本ダービー」だ。
正式には「東京優駿」というこのレースは、3歳馬(オス馬=牡馬、メス馬=牝馬のどちらも出走ができる。去勢をされた馬=セン馬は出走できない)の頂点を決めるべく、東京競馬場の芝コース2400メートルにて行なわれる。日本中央競馬会(JRA)が主催するレースでは、売上こそ年末の大一番・有馬記念が上回ることが多いが、やはり「競馬と言えばダービー」と競馬ファン以外でもその注目度は高い。
09年のダービーステークス。
勝ったのはSea the Stars
そのダービーについてのウンチクをふたつ。
まず“ダービー”という名前の由来について、その経緯を競馬発祥の地・英国から辿ってみよう。
英国のドンカスター競馬場にて、ダービーより前から行なわれていた「セントレジャーステークス」(日本の菊花賞に当たる)。その盛り上がりを見た12代ダービー伯爵エドワード・スミス=スタンリーと、友人でイギリスジョッキークラブ会長(競馬主催者)のチャールズ・バンベリー準男爵が創設を発案、レース名に自分の名前を冠することをお互いに譲り合ったため、最後はコイントスで「ダービーステークス」とし、1780年にエプソム競馬場で第1回が行なわれたのが始まりとなる。その後、世界各地の競馬場で3歳世代の代表を競うレースとして世界中に伝播したのが「ダービー」というわけだ。ちなみに英国では「ダービーステークス」だが、欧米で自国・他国のダービーと区別するために競馬場の名前を取って「エプソムダービー」、日本などでは「イギリスダービー」とも。さらに、“元祖ダービー”でもあることから特に「The Derby」と称されることもある。
また、この“年の頂点を決める”というレースの性質から、日本では誰がいちばんかを決める争いで「ダービー」と使うことが多々ある。プロ野球の最多勝利投手や本塁打王の争いをそれぞれ「(ハーラー、ホームラン)ダービー」としたり、ボートレースや競輪の「全日本選手権」を「(ボートレース・競輪)ダービー」と呼ばれるのはここから来ている。
で、最後にもうひとつダービーのウンチク。サッカーやプロ野球で、同じホームタウンのチーム同士が戦うことを「埼玉ダービー」や「ミラノダービー」などと呼ぶ。これも“覇権争い”などの意味で競馬のダービーから……派生したのではない。
これは英国中部にある都市・ダービーにて、「かつてふたつの教会派に別れて行なわれた年一回のフットボールの試合が毎年激しくなることから」、もしくは「本拠地も同じサッカーチーム“カウンティ”と“シティ”が試合をした際、住人もどっちを応援したらいいかわからないような状態なので、とりあえず“ダービーでの試合=ダービーマッチ”としたのが一般名称になった」、このふたつの説が有力となっている。ダービー伯爵と都市のダービーの因果関係は不明とされていることから、競馬のダービーとダービーマッチは関係ないとすることができるわけだ。